株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

(一社) 人工知能学会:18801(公社)日本証券アナリスト協会:01159

あすなろ投資顧問

2021-07-14 17:00:00

アナリスト木村の銘柄研究部

夏向きの明るい話題:『ノーバウンド』が解消した時のインパクトを考える

皆様、日々の株式投資へのお取り組み、ご苦労様です。

長引くコロナ禍の影響で、インバウンドどころか、アウトバウンドも期待できない「ノーバウンド」状態でありながら、
いよいよ夏本番がやってまいります。
本日は、「ノーバウンド」が解消した時のインパクトを考える際の「モノサシ」として、日本や中国のパスポート保有率についてご紹介してみようと思います。

私が、個人的に今なお、永久保存版級の素晴らしいレポートのひとつだと考えているのは、ゴールドマン・サックス証券会社が2015年にリリースした、『The Chinese Tourist Boom』というテーマレポートです。
私が所持していたのは英語版のハードコピーでしたが、調べてみたら日本語版がWeb上で簡単に閲覧できるようになっていました。
https://www.goldmansachs.com/japan/insights/pages/asian-tourism-folder/report.pdf

特に驚いたのは、「数字で見る中国人観光客」の欄のパスポート保有率です。
なんと、当時は4%!
2015年の日本では、インバウンドという言葉が日常的になり始めた頃で、中国人に限らず、都内の街中での外国人遭遇率は異様なほど高くなっていましたが、それでも中国人のパスポート保有率は4%だったのです。

当然ながら、その後コロナ前までのインバウンド関連ビジネスのヒートアップぶりは、会員様におかれましても、凄まじかった事が記憶に新しい事と存じます。

では、2015年に4%だった中国人のパスポート保有率は、6年後の今どうなっているのか?
皆様、興味しんしんではないでしょうか?

統計が古くて恐縮ですが、2017年の旅券統計によれば、日本人のパスポート保有率は約23.5パーセントで、2017年末の有効旅券数は約3,000万件でした。
米国は42%、カナダは66%、イギリスは76%となっており、日本は先進国の中でもパスポート所有率が目立って低い事が窺えましょう。

2017年当時、年間で延べ約1.5億人が出国すると言われていた中国は、日本よりもさらに低水準でした。
2002年から2017年の間に、中国のパスポートは総計1.73億件、1年間で平均1,080万件が発行されたそうです。
そして、2017年の中国の全人口に占めるパスポート保有率は10%超でした。

2020年以降はコロナ禍で増加は抑えられたでしょうから、2018年と2019年が仮に2%ずつ増加したと仮定しても、未だに中国人のパスポート保有率は15%程度だろうと想像します。
もしも、この数値が、コロナ禍明けを機に、日本なみの20%超まで増加したら、どうなるのか。。。?
つまり、インバウンド、特に中国人観光客によるインバウンド関連需要は、この先まだまだ拡大余地が大きいと言えましょう。

一方でアウトバウンドも、当然ながらコロナ禍の影響で落ち込んでいる事が、日本の旅券統計からも確認できます。

▼外務省領事局旅券課旅券統計(2021年2月)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100150897.pdf

ちなみに、2019年の日本の一般旅券発行数は全国的に増加し、東京のパスポート保有率は38.2%、東北3県は9%台も前年比上昇、0〜29歳女性で104万冊発行、男性とは20万冊の差、女性は全年代で増加、男性は30〜40歳代がマイナスという統計も発表されていました。

つまり、アウトバウンドも、コロナ禍による移動規制が解除されれば、爆発的に増加する可能性があるように思います。
なによりも、コロナ絡みの外出・移動規制が解除(または緩和)される事により、その開放感からアウトバウンドも増大する事でしょう。

コロナ禍を抜け出した先には、「業績V字回復」どころではなく、「ストップ高連発」くらいの、想像を絶するポジティブインパクトが待っていると考える次第です。
コロナ禍が長引く事で精神的な「疲れ」をも感じる日々ですが、長引けば長引くほど、回復時のインパクトは大きくなる事でしょう。
旅行業、観光関連業、空運・陸運、などの関連銘柄の株価も、期待をもって継続ウォッチしたいと存じます。

・日本航空(9201)
・ANAホールディングス(9202)
・エイチ・アイ・エス(9603)
・ベルトラ(7048)
・エアトリ(6191)


*注目すべきマーケット動向として情報をご提供する事を目的としており、これらの個別銘柄に対して投資推奨する事を目的としたものではありません。



執筆:木村泰章

無料新着記事

記事一覧へ

今ご登録で特典5銘柄+大石銘柄+5000ptをプレゼント!

今すぐ無料登録 クリック