ポートフォリオの調整の仕方:「分散」に関する誤解
かなりくだけた内容ですが、週末・休日版という事でご了承いただき、お付き合いください。
以前にも少しお話させていただきましたが、本日は会員の皆様が保有されている銘柄群の、「ポートフォリオ内の調整」について、「分散投資」に関する誤解にも触れながらお話してみたいと存じます。
株式投資にお取り組みいただいております会員様とお話させていただきますと、「分散投資」に対してご誤解されているケースが少なくないように感じます。
『1000万円の投資資産をソニー1銘柄に投じて11,000円で900株購入した』
というのが分散投資に該当しない事は明白ですが、それでは、こちらはいかがでしょう?
『1000万円の投資資産をおよそ300万円ずつ、ソニーと、日立と、パナソニックの3銘柄に投資した』
これは分散投資と言えるのでしょうか?
はい、もちろん、ソニーと日立とパナソニックの3銘柄におよそ300万円ずつ投資を行っても、これも実は分散投資には該当しません。
「分散」を目的とする「対象」は、「投資資産・資金」ではありません。
「不確実性=リスク」を分散させる事こそが、本来の「分散投資」の定義です。
つまり、投資資産の全てを「株式」に投資していたのでは、株式投資にかかわるリスクを分散した事にはなりません。
ですので、非常に大雑把な例で恐縮ですが、こんな感じの投資こそが分散投資に該当する事になります。
『1000万円の投資資産を事業投資で太陽光発電に600万円、実物投資で金に200万円投資、ソニー株を110万円相当分購入し、残りは銀行預金』
という事で「分散投資」の根本定義については、「リスク分散」こそがカギであるという事はご理解いただけた事と存じます。
では、実際の「株式投資」における「分散」は何に気を付ければ良いのでしょうか?
「株式投資」なのですから、「株式投資のリスク」自体を回避する事はできません。
しかしながら、株式投資という枠の中でも、ある程度であればリスクコントロールが可能な手法があります。
それが「保有株全体をポートフォリオとして考え、その中身を調整する」事です。
例えば、こんな感じのモデルポートフォリオはいかかでしょうか?
『1000万円の投資資産のうち半分は株価が安定している高配当銘柄、3割は成長株投資、2割は時間がかかる事を覚悟で割安株投資』
もしくは
『1000万円の投資資産のうち、2割はJ-REIT、2割値嵩株、3割低位株、残り3割は積極的に値上がり益を狙う成長株』
これが「株式投資という枠の中における分散」です。
いえいえ、単なる理想論、タテマエではありません。
ご自身のリスク許容度や投資遺産規模に応じて、お一人お一人で「モデル」の内容は異なり、どれが「正解」かという、絶対的・単一的な「モデル」は存在しません。
しかしながら、この「調整」を常に留意なさっている個人投資家は非常に少ない印象です。
「持っている銘柄は創薬ベンチャー銘柄ばかり」だったり、「銀行株と電力株メインで、あとはデイトレードを繰り返している」とか、ポートフォリオの中身が「極めて偏っている」ケースが少なくないようにも思います。
執筆者:木村泰章
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