先行きの景況感を懸念するのは過剰反応ではないか?
政府は8月の「月例経済報告」をまとめ、国内の景気全体の現状についての判断を「持ち直しの動きが続いてるものの一部で弱さが増している」と表現しました。この表現は4か月連続です。
コロナ感染拡大による影響で、外食などの低迷が続いており、「個人消費」については「サービス支出を中心に弱い動きとなっている」としています。加えて、外食や旅行は客足が十分に戻らず、家電などの販売の勢いも弱まっているとも指摘されております。
景気の先行きについては、コロナ感染者の増加を受けて「下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」と表現しています。
ここまでは「肌感覚的」にも納得のいく内容でありましょう。
▼月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(内閣府、2021/8/26)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2021/08kaigi.pdf
一方で、ここ数日の間にメディア等を通じて伝えられているニュースには、上記の景気見通しとは異なるのでは?と思われるようなものが少なくありません。
幾つか列記してみます。
◎8月16日発表の2021年4~6月期の実質GDP成長率(1次速報)は、前期比+0.3%(年率換算+1.3%)とプラス成長に復帰したものの、前期の落ち込みを十分に取り戻せておらず、同時期の米国、ユーロ圏、中国などの伸びと比べると小幅にとどまるなど、力強さには欠ける結果となった。
⇒確かに4~6月に関しては納得できるような数値であるような気が致します。
ワクチン接種の遅れが指摘されていた頃で、先行き見通しにも暗雲が垂れ込めるような状態だったように思います。
◎米国の衣料小売りGAPは8月26日、2回目となる通期の売上高見通し上方修正を発表。2Qの売上高推移も好調で、時間外で一時7%高。
⇒コロナ感染再拡大傾向は日本に限らず海外も同様です。
しかしながら、その対応は各国で大きく違います。
「個人消費」については「サービス支出を中心に弱い動きとなっている」のは景況感によるものではなく、単に政府の舵取りの問題のように感じます。
◎Wall Street Journalが8月26日に伝えたところによると、TSMCは半導体製品価格を最大20%引き上げる。最先端の半導体は10%、自動車メーカー向けなどの半導体は20%の値上げ予定で実施は今年終盤を予定。
⇒こうした「値上げ」の動きは、通常、景気が好調な局面、もっと乱暴に言えばインフレ局面で観測される事が普通です。
日本国内の景況感をよそに、国外では景気は悪いどころか、インフレ懸念が台頭しているとの見方を裏付ける内容かと存じます。
◎トヨタ自動車と日本製鉄などの鉄鋼大手が、2021年度下半期(21年10月~22年3月)の自動車向け鋼材価格の引き上げで合意した(8月24日)。
⇒「値上げ」と言えば、このニュースにも驚きました。
日本製鉄側は、値上げに応じてくれなければ供給を減らすとまで、強気姿勢で値上げ合意を迫ったと伝えられています。
値上げを迫った日本製鉄側も、値上げに合意したトヨタ側も、先行きの景況感を懸念しているならば、合意実現は難しかったのではないでしょうか?
つまり、何を申し上げたいのかというと、実は、先行きの景況感については、経済指標等に表れているほど「悪化」しないのではないか、という事です。
外食に対しても、旅行に対しても、サービス業に対しても、日本国民はコロナ感染を怖がって支出を「抑えている」のではなく、
むしろ、本当は支出したいのに、政府の舵取りによって「抑えられているだけ」なように感じます。
株価が、株式市場が、「景気の先行指標」や「景気のバロメーター」であるならば、はい、投資行動はやはり「買い」で宜しいように思う次第です。
執筆:木村泰章
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