この先の株式市場の最大の懸念事項は原油高か
本日の日経平均は700円を超える上昇となり、上昇率は2.61%。
東証1部の業種別指数で最も強かったのは精密機器で上昇率は3.41%でした。
主力どころの株価は軒並み上昇しておりますが、主力製造業の中には、やや気になる動きも出ています。
本日の取引終了後に発表された、日本精工(6471)の通期業績見通しの下方修正と、その理由が典型的な一例と申し上げて宜しいでしょう。
▼2022年3月期第2四半期決算短信(2021/11/1)
https://www.nsk.com/jp/investors/library/pdf/financial_announcement/2022/con2203q2.pdf
22.3月期2Q累計(4-9月)の連結税引き前損益は159億円の黒字(前年同期は106億円の赤字)に浮上して着地しましたが、通期の同利益は従来予想の525億円から440億円(前期は58.8億円)に下方修正されています。
その理由となる事業環境に関して、「工作機械や半導体向けなど設備投資関連需要は堅調に推移」としながらも、下記2点をマイナス要因として挙げています。
・半導体等部材の供給不足による自動車の減産
・原材料価格や輸送費用などのコスト上昇
この事から、部品(主に半導体)不足が解消し、自動車の生産が回復し、加えて原油高等が一服して鉄鉱石等の原材料価格やエネルギー関連コストの上昇が止まらないと、製造業全般の業績は根本的には上向かない可能性があります。
しかしながら、上掲のうち、部品・部材(主に半導体)不足は3Qには回復に向かうものと予想され、それらを背景に、4Qには自動車生産も挽回生産ステージに入ってくるものと推察されます。
一方で、原油高に代表される原材料価格の高騰に関しては引き続き注意が必要です。
やや乱暴に言い換えるのであれば、米国の長期金利上昇懸念も、中国の規制強化による景気鈍化懸念も、日本国内の政局不安定懸念も、実は「読み違いだった」可能性があります。
株式相場に与える悪影響として最も懸念すべきだったのは、原油高に代表・牽引される、原材料価格とエネルギー価格の高騰だった、と申し上げても宜しいかもしれません。
逆説的に申し上げるのであれば、半導体不足が3Qにも解消し、4Qにも自動車生産が急回復するのなら、日本精工のように今期の業績見通しが下方修正された企業は、「原油高・原材料高」を別とすれば、ほぼ悪材料は出尽くしたと捉える事もできましょう。
加えて、「工作機械や半導体向けなど設備投資関連需要は堅調に推移」しているのなら、工作機械も半導体製造装置も、既に「逆境」は脱していると見て宜しいかもしれません。
本日の日本精工の下方修正は、上述のように、むしろ、製造業全般の株価推移に関しての悪材料出尽くしをも示唆し、一方で引き続き原材料価格の上昇には留意しなければならない事に警鐘を鳴らす内容であったと認識した次第です。
日本精工、まだまだ注意は必要ですが、「買い目線」で株価推移を注視したいと思います。
◎参考銘柄
日本精工(6471)
執筆:木村泰章
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