忘れえぬ銘柄
年末を迎えますと、その年の振り返りで、様々なランキングが話題になります。
当然ながら株式投資の世界でも、年間騰落率ランキング等で、1年を振り返る事になりましょう。
さて皆様、2015年、TOPIX(東証1部)銘柄の上昇率トップだった銘柄はなんだったかご存じでしょうか?
2011年の11月に証券会社勤務から退いた私は、2014年の6月から、富裕層個人投資家の資産管理会社で、投資対象となる銘柄の発掘、調査、情報収集という役職に就きました。
トレーダー・ディーラーとして招聘したのは、皆様もご存じの「億男W」!
非常にやりがいのある仕事だったのですが、社長が重病を患われてしまい、僅か半年あまりで当該会社はやむなく「解散」。
社長の知人であった投資助言会社の社長から、新たな投資顧問会社を設立するので手伝ってほしい旨オファーを頂戴し、2015年の4月から新会社で働き始めました。
そこで一番最初に、推奨銘柄として「会社に」ご紹介したのがアイスタイル(3660)でした。
化粧品の口コミサイト「@コスメ」の運営会社です。
2012年3月にマザーズに上場し、2012年11月に東証一部に市場変更しています。
2015年の年間上昇率はなんと770%!
つまり、1年間で株価は8.7倍になったという凄まじい上昇っぷりでした。
16年、17年と調整し、18年に切り返し上場来高値を記録したものの、そこから20年3月まで下落が続き、高値の10分の1以下水準まで売り込まれてしまいましたが。。。
当該会社での私は、お客様の窓口となる営業職ではなく「コンプライアンス担当」でしたので、当然ながら、社内の誰も私の投資アイデアには耳を貸さず、これほどの「大当たり」銘柄を、お客様の株式投資に活かしていただく事が叶いませんでした。
既に、リクルート系で有名なクーポン付きフリーペーパー、「ホットペッパービューティー」は存在していましたが、「化粧品の口コミサイト」である「@コスメ」、さらには「@コスメ」からの多方面への展開等、当時のアイスタイルは「成長株」としてのカタリスト(材料)に溢れていたと今なお考えている次第です。
ただ、この2つのビジネスモデルは、似通っているものの、立ち位置は大きく異なっていたようにも思います。
「ホットペッパービューティー」が、ネイルサロンや美容に関する事業者の「運営」をサポートしようという立ち位置であったのに対し、「@コスメ」はより消費者目線に寄った立ち位置だった印象です。
この違いが、その後のビジネス面での成長・成功を、大きく作用する事になったものと考えます。
しかしながら!
「コロナ感染」が生活様式自体を大きく変化させた可能性は無視できません。
「非接触」が日常となるのなら、感染リスクに怯えながら高額の美容サロンに通う事よりも、口コミサイトで化粧品はじめ美容に関する商品を自ら選んで自ら使い、「非接触」シフトがトレンドとなる可能性もありましょう。
この先、そんな「@コスメ」、アイスタイルの巻き返しが起こる可能性は否定できません。
非常に不思議な巡りあわせですが、令和元年、友人の投資運用・投資助言会社でコンプライアンス担当から遂に投資助言者に転じ、個人投資家の皆様に、直接、投資助言を始めた私が、初めて取り上げた銘柄群のひとつが、コード番号が3660のアイスタイルではなく、1つ違いのコード番号3661のエムアップHDでした。
アイスタイルにもエムアップにも、なんとなく肩入れしたくなる自分を戒めながら、この2社の株価を今なお横目でウォッチし続けています。
◎参考銘柄
・アイスタイル(3660)
・エムアップHD(3661)
執筆:木村泰章
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