下げる時には一斉に大幅に下げるのに戻りはまちまちなのはナゼ?
3日で日経平均が1400円下落した今週の下落局面の主因と背景については、FRBのタカ派転換とか、未だに米国の金利引き上げに関しては不透明要素が多いとか、年内のサプライチェーンの回復が難しいとか、様々な指摘がありますが、「売られ方」は完全に「リスクオフ」でした。
個人投資家の追証による投げ売り、27000円どころを維持できなかった為のあきらめ売り、更なる下落を見越しての空売りなどなど、様々なタイプの売りを巻き込んでの大幅下落でしたが、「相場観に基づく売りよりも自動的・機械的に売らざるを得ない売り」が主だったという印象です。
一方、金曜日の戻り局面では、一気に「リスクオン」に傾いたわけではありません。
戻る時には、「戻りやすい」銘柄群が「優先」されて戻るのが相場の常であり、ゆえに戻りの「率」も「勢い」もまちまちで、中には戻るどころか下落が継続している銘柄群もあります。
会員様が既にご存じのとおり、足元では3月決算企業の3Q決算を中心に、決算発表シーズンに突入しており、この点も個別銘柄の戻りに差が出る要因でありましょう。
つまり、切り返し局面・戻る時には、個別銘柄に関する「相場観」が加味される傾向が強く、相場観無視で売られた暴落時とは背景が異なるわけです。
では、切り返し時の「物色順に」について考察してみましょう。
まず、企業の時価総額から見た、「大型・中小型」という分類では、やはり暴落後の切り返しは「大型主力株」が物色対象としては優先されるケースがほとんどです。
上場市場としても、やはり、東証1部銘柄が優先的に戻り、新興市場に属する銘柄群は後回しとなりがちかもしれません。
また、グロース株ほど売り込まれた下落局面でしたが、戻りはバリュー株が先に物色されるようなケースも往々にしてあります。
会員様が保有されている銘柄群が、「日経平均が2%上昇したのに〇〇株は下落している」というケースがあったとしても、それは、戻りの際の「優先順位」による「順番待ち状態」である事が背景なのかもしれません。
つまり、戻りが鈍いという点だけに不安を抱いて、僅か数日で「処分売り」という投資判断を下してしまうのは早計である可能性が高いようにも思います。
執筆:木村泰章
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