株価上昇のメカニズム:玉(ギョク)の取り合い
かなりくだけた内容ですが、週末・休日版という事でご了承いただき、お付き合いください。
本日は、株価上昇のメカニズムについて考察してみたいと思います。
会員様各位も私達助言業者も、いえ、全ての市場関係者が大好きなはずの「ストップ高」。
買いたい人が殺到するからこそ、その買い需要に見合った売り物が「足らず」ストップ高に達するわけですが、皆様よくご存じのとおり、ストップ高に達するまでには、大別して二通りの「メカニズム」が存在します。
つまり、買い需要と売り物が見合わぬまま、「買い気配が切り上がり続け」、ストップ高に達するケースと、実際の商い(売買)を交え、「株価が切り上がり続け」てストップ高まで達するケースです。
「人気化」ゆえのストップ高は、「買い気配」が切り上がっていゆくケースが多く、「実需」ゆえのストップ高は、「株価」自体が切り上がってゆくケースが多いと申し上げても宜しいかもしれません。
では、「人気化」と「実需」のどちらが「強いか」という点については、諸説存在する事は承知のうえで、個人的には「実需」の買いの方こそが「強い」と認識しています。
つまり、「買いたい」という「人気化」による「買い気配」よりも、「買う・買わねばならない」という「実需」に基づく「買い注文」が流入し続けるケースの方こそが「強い」と判断すべき、と考える次第です。
言い換えると、商いが成立しないまま、ストップ高に達したケースよりも、商いをこなしながら、結局ストップ高に達したケースの方こそが強いと見るわけです。
商いをこなしながら、というのは、売り物を消化しながら株価が上昇した事を示しているので、イメージ的には「戦いの末に突破」した経緯を鑑みて「強い」と判断する事になります。
さて、投資対象を選択する際に、業績推移や過去の株価推移を考慮するのは、基本中の基本ですが、もうひとつ大事なのは、需給動向を予測する事であるのは言うまでもありません。
その需給面の考察に、個人投資家は「信用取り組み状況」こそを主に参照する傾向が強いように思います。
信用買い残が多いから、将来的な売り需要も大きいと考える事自体は正しいと思う一方、この考察には、大口のプレイヤー、すなわち、機関投資家の参入可否や動向の考察がなされていないように感じます。
私が銘柄選択の際に需給面の考察で着目するのは、「特定株と浮動株の比率」です。
浮動株比率が低いと、流動性の低さを嫌って大口資金を運用する機関投資家の参入は見込めない「ステージ」ではありますが、その「初期ステージ」では逆に、将来の成長性に着目した投資家が少ない売り物を奪い合ような、「玉の取り合い」的状況がしばしば起こりがちです。
・初期テージ:実需の先行投資:少ない玉の取り合いで株価上昇
・拡大ステージ:人気化:買い気配が切り上がりがちでストップ高も
・成長ステージ:企業側が流動性を引き上げる:需給はダブつき株価はもみ合い
・安定ステージ:大口参入:株価は緩やかな右肩上がりが続く
・・というのが理想的な株価推移シナリオと考える次第です。
当然ながらこれらの「ステージ」推移は、長期間に何度も繰り返されたり、もしくは各ステージが非常に長い時間軸で推移したり、様々なパターンが想定されるわけですから、投資対象の株価が、果たしてどのステージにあるかを認識する事こそが必要不可欠でしょう。
執筆:木村泰章
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