皆様、日々の株式投資へのお取り組み、ご苦労様です。

昨日の日本の株式市場は、朝方の安い場面から時間の経過と共に切り返しに転じ、結局は日経平均が278.58円高と上昇しました。
市場関係者の間では上昇の背景について、「売られ過ぎ状態の水準訂正的自律反発」との見方が主流で、本格的な切り返し局面入りと見る向きはまだ少ないように思います。

一方で、昨日の日経平均の上昇の背景は、同日に発表された日銀短観が背景ではないか、という論調も散見されます。
実は私も個人的には、日銀短観の結果が「間接的」に「突っ込み買い」を「誘発」したと見ております。

えっ？
日銀短観の内容には、特に「買い材料」と目されるような点は無かったけど？
はい、確かに、大企業製造業、大企業非製造業をはじめ、DI（業況判断指数）部分には、驚く事もポジティブ視できる部分もさほど無かったように思います。

一方で、私が注目したのは、「全規模全産業ベース」の「22年度の想定為替レート」です。
前回6月調査の1ドル『118円96銭』からは大幅に円安方向に修正されたものの、今回調査では1ドル『125円71銭』でした。
少なくとも10円は円安方向に修正され、おそらく130円前後だろうと予測していた私の見立てよりも、はるかに円高水準の125円台でした。

対して足元の為替水準は、会員様各位もご存じのとおり1ドル145円近辺。
米国の金利政策も方向的には依然として利上げ局面にある事を考えれば、ドル独歩高に伴う円安状態は今後もしばらく続く事が予想され、特に、「22年度の」想定為替レートは、少なくとも130円台と考えるべきであろう、という印象です。

急速に進んだ円安は、原材料コストの上昇と相まって、大企業製造業の収益を圧迫します。
しかしながら、短観によれば、大企業製造業全般は、「部品などの供給不足が徐々に解消されている事」を認識しており、製造業も非製造業も、「製品やサービスの価格への転嫁が追いついていない」事も認識しています。
となると今後は、主に製造業において下記のような点が認識されはじめるものと推察します。

・部品調達難が解消され製品化が進んで業績は上向く。
・引き続き原材料コストは上昇するが価格転嫁が進む事で相殺され利益の圧迫は限定的となる。
・想定為替レートを遥かに上回る円安状態の継続が、マイナス面を差し引いても、結果的に業績面の追い風として機能する。

以上の理由が、昨日と本日の日経平均の上昇の背景のひとつと見ます。
もちろん、「売られ過ぎ状態からの自律反発」という点も大きく、以前から度々お伝えしているとおり「日本株の優位性」も続くと思われる事から、日本の株式市場の切り返し基調は、しばらくの間継続するものと考えます。

奇しくも本日は10月4日で「投資の日」です。
アノマリー的には「投資の日」に買って、年末まで持ち越すと、勝率が高いという話も広く知られております。
底打ちからの切り返し基調は続くと考え、強気で日々のお取り組みにお臨みください。
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執筆：木村泰章