その割安株上がらないかもしれませんよ
王道中の王道の投資スタンスですし、妥当だとも思います。
少しでも安く買っておこう、だから、株価が下がった時こそ買いチャンスだ、と考えになる気持ちも良く分かります。
ただ、株式投資における「割安株投資」は、やや「性質」が異なりますよ、というお話です。
個別株の「割安」という判断は、一般的に、同業他社との相対比較や過去の値動きとの比較によるものではなく、その個別銘柄のバリュエーション面、つまり、フェアバリュー・理論株価と比較して「割安」かどうかが判断される傾向にあります。
ゆえに、「割安状態であるかどうか」の判断自体は決して難しいものではありません。
しかしながら、「割安」という判断がバリュエーション面の比較であるならば、
逆説的に、「割安」であっても、その割安状態が是正される事までを期待できる判断材料にはなりません。
もっとわかりやすく申し上げると、「割安」状態だからこそ株価が上昇するという理論は成り立ちません。
つまり、割安を理由に買った株が、結局、割安状態のまま放置され、株価は上昇しないというケースはままあるわけです。
判断が難しいのは、割安かどうかではなく、割安状態が株価上昇によって是正される「可能性」の判断なわけですね。
バリュエーション面の割安判断に用いられる「ものさし」として一般的なもには、
PER(株価収益率)とPBR(一株当たり純資産)があります。
PER5倍なら「割安状態」でしょうし、PBR1倍割れも「割安状態」だという点に異議はありません。
ただし、PER5倍の割安状態にある銘柄が、PER15倍まで買われる「可能性」が「約束」されているわけでもなく、同様に、PBR1倍割れにある銘柄の株価が、上昇する事が「約束」されているわけでもありません。
「可能性」という面についても、「ある」というだけでは、「高い」と見なす事はできません。
株式投資における「割安株投資」は、長期目線で割安状態が是正される「可能性」が「ある」点に「も」着目し、既に「割安」だから、大きな値崩れは想定し難いだろう、との判断によって行われる事が一般的です。
つまり、「株価の上昇」はむしろ、「二の次」なのです。
やや乱暴な申し上げ方かもしれませんが、株価の上昇こそに期待するのであれば、割安株投資は選択肢にはなり得ないと考えます。
言い換えると割安株投資は、比較的大きな金額の資産運用を行う際に、アクティブ運用(積極的に値上がり益を狙う)とのバランス感を取るうえでの、「安定性」を確保する目的で、「選択肢」のひとつと目されるまでであるように考える次第です。
会員様各位の株式投資の「目的」が、リスク承知のうえでの「値上がり益を得る事」なのであれば、これは「アクティブ運用」に他なりません。
良く耳にする「バリューかグロースか」という議論も、「アクティブ運用」ならば、やはりバリューの安定性よりもグロースの成長性こそが第一義となるわけで、
おのずと物色・投資対象はグロース寄りとなりましょう。
私は今年の日本の株式相場を、「久しぶりに値上がり益を積極的に狙って行けるグロース株優位の展開」と見ています。
その理論的根拠は、本日開催の「あすなろクラブ」にご参加される会員様に、一足先にお伝え申し上げる予定です。
ご予約いただいておられる会員様にお目にかかる事を楽しみにしております。
執筆:木村泰章
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