野村アセットマネジメントが1月25日に設定した単位型の「（早期償還条項付）リオープン・ジャパン2301」は、24日までの申込期間に1047億円を集めたと目されています。
国内公募投資信託の当初設定額では今年最大、2022年を含めると3番目の大きさとなる大型投信設定でした。

日本株ファンドの当初設定額1000億円超えは、2015年4月設定の「日本企業価値向上ファンド（限定追加型）」（野村アセット）以来。
それより前の1000億円超えは、2000年の、いわゆる「1兆円ファンド」と呼ばれた、
「ノムラ日本株戦略ファンド」（同しく野村アセットが運用）という事になり、
久々の超大型投信設定は、個人投資家の日本株に対する期待感の表れである、との論調が多いように感じます。

会員様各位は、いかがでしょう？
今後の日本株の切り返し・上伸を期待するなら、投信を買いますか？
投信を買うよりも、個別株投資こそを選択なさるのではないでしょうか？

当該投信の「トリセツ＝商品説明資料」によれば、投資対象は国内株式のうち、外需関連企業やインバウンド消費に関連する企業との事。
業績動向や流動性、株価の割高・割安の度合いなどを評価して投資銘柄を絞り込み、信託期間の約5年以内（28年1月28日まで）に基準価額が1万2000円以上となった場合、円建ての短期公社債などに投資する安定運用に切り替え、繰り上げ償還するという性質を持っています。

参考ポートフォリオとして紹介されていた銘柄群には、外需関連の例としては東京エレクトロン（8035）やコマツ（6301）、インバウンド関連の例としてはオリエンタルランド（4661）や三越伊勢丹HD（3099）などが挙げられ、中でも「核」と目されているのが下記4銘柄です。

・パナソニック　ホールディングス（6752）
・日産自動車（7201）
・三菱ケミカルグループ（4188）
・SUMCO（3436）

典型的な日本株ファンドといった感じで、特に「リオープン」感は窺えないようにも思います。
奇しくも、12月の「日銀ショック」を経て、為替水準が大きく上下に「ブレ」、方向感を見いだせない状況下で、為替の影響を受けやすいと考えられる、「外需関連企業やインバウンド消費に関連する企業」を対象とした、「典型的な日本株投信」に、個人投資家の日本株に対する期待感が向かうとは考えにくいようにも思う次第です。

上掲のパナHD等4銘柄は、当該投信が「買うとの思惑」から、1月25日前後に株価が上昇する場面が見られました。
確かに、足元の日経平均27000円台の回復の、間接的な「原動力」になった可能性はありましょう。
一方で、パナHDは2月2日に決算発表と共に今期業績の下方修正を発表しています。
三菱ケミも日産もSUMCOも、株価推移は「ようやく底入れか」という局面に過ぎません。
この先の株価の切り返しと上伸に「期待を抱けるようなサイン」は未だ示現していない印象です。

という事は、単なる「日本を代表する主力級銘柄群の突っ込み買い」じゃん！と勘繰りたくもなります。
つまり、久々の超大型投信設定は、投資家の期待感の表れとは言えないように感じている次第です。

あすなろの見解は、もっともっと、個人投資家様寄りです。

今年は「グロース株（「成長株」の意でグロース市場銘柄に限定しているのではありません）の逆襲」局面と見て、バリュー株（割安株の意）よりもグロース株のパフォーマンスが優位、かつ、主力級大型銘柄群よりも規模感の小さい、中小型成長株群こそ株価の上昇が期待できる、との「ストラテジー＝戦略」を明確にお伝えしております。
弊社の単発スポット銘柄群に、会員様各位が多数ご参加いただいている事こそが、
「個人投資家の日本株に対する期待感の表れ」と認識させていただいている次第です。

機関投資家好みの、割安感と成長性のバランスに優れた銘柄群では、今年の株式相場の中で、ご満足いただけるような「値上がり益」を享受していただけないであろう、と考えているからこそ、グロース銘柄への投資をご提言・ご推奨しているわけです。
仮に足元の株価推移が冴えないケースがあったとしても、弊社の銘柄選択スタンスと強気姿勢に「ブレ」はありません。
「値上がり益を狙うなら、あすなろ投資顧問と共に、グロース株で行きましょう」！



執筆：木村泰章