国土交通省は3月22日に、2023年1月1日時点の公示地価を発表しました。
全用途の全国平均が2年連続で上昇し、上昇率は1.6％で前年より1ポイント拡大しました。
新型コロナウイルス禍からの経済社会活動の正常化が進み、都市部を中心にオフィスや店舗の需要が回復した事が確認できます。

弊社が特に注目したのは、九州地方の県や市町村が、上昇率ランキングに占める割合です。
都道府県別では、福岡県の上昇率が2位となり、5位の東京都を上回り、上位20位以内に九州の県が4つもランクイン。
市町村別では上位20位以内に福岡県の市町村が7つもランクインしています。
（以下Land Price Japan 「土地代データ」サイトより引用～公示地価の出典元は国交省提供オープンデータ）

【公示地価 上昇率 都道府県ランキング 2023年】
2位 福岡県　変動率は+4.60％
5位 東京都　変動率は+2.81％
8位 熊本県　変動率は+1.95％
11位 佐賀県
19位 長崎県

【公示地価 上昇率 市町村ランキング 2023年】
7位 熊本県 菊陽町　変動率は+11.24％
9位 熊本県 大津町　変動率は+9.32％
10位 福岡県 福岡市
10位 福岡県 筑紫野市
13位 福岡県 須恵町
16位 福岡県 大野城市
17位 福岡県 古賀市
19位 福岡県 新宮町
20位 福岡県 粕屋町

市町村別ランキングの7位と9位に入った熊本県の菊陽町と大津町は隣接しており、
同地区には、ソニーグループの半導体部門であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの工場が在ります。
そこに隣接する形で、世界最大の半導体受託製造会社TSMCの新工場が建設中です。
https://www.town.kikuyo.lg.jp/kiji0033160/3_3160_up_qivy2lbz.pdf
また、ソニーグループは長崎県諫早市にも半導体関連の工場を構えている事は周知のとおりです。

こうした工場ができると、その工場及び企業との取引を狙って、関連する部品等を扱う企業が同地区に事業所等を構えて、
「工場城下町」が形成される傾向が強く、それに伴い、こうした企業で働く方々の流入によって居住人口が増加し、当然ながら地価は上昇する事となります。

福岡県では、都⼼部の多くのビルが更新時期を迎えている事も考慮し、2021年3月に航空法⾼さ制限が緩和されました。
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/59163/1/314.pdf?20210427135337
これは「天神ビッグバン」と呼ばれる大規模再開発・整備で、この影響が博多から周辺地域へと波及して、公示地価が軒並み上昇したものと考えられます。

もちろん、福岡県にも、上場製造業の工場等拠点は数多く点在しています。
・三井ハイテック：集積回路製造　福岡県北九州市八幡
・ローム：SIC半導体　福岡県筑後市
・日本タングステン：粉末冶金　福岡県福岡市
・安川電機：産業用ロボット製造　福岡県北九州市八幡
・デンソー九州：自動車部分品・付属品製造　福岡県北九州市八幡

半導体材料製造の大手SUMCOは佐賀県伊万里市と長崎県大村市に、京セラは鹿児島、東京エレクトロン九州は熊本に生産拠点を構えています。

九州地方が、日本の、アジアの、世界の、製造業の一大拠点となる日は近い、と申し上げて宜しいように思います。



執筆：木村泰章

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◆アドソル日進（3837）
本日は一時1700円台に進み、昨年来の高値を更新する事が視野に入ってきました。
日足チャートでは上昇トレンドが形成され、上値追いが継続しそうです。

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機関投資家勢が動き出し始めたようです。