株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2023-03-29 17:00:00

アナリスト木村の銘柄研究部

分散投資の落とし穴:注目投信のパフォーマンスに見るアクティブ運用のパッシブ化

なんだか仰々しいタイトルになってしまいましたが、私は、分散投資を「し過ぎる」と、投資成果は上がらない、という持論を有しており、それを、個人的に注目している投資信託のパフォーマンスを引き合いに出し、アクティブ運用を目指しているハズが、分散投資で投資対象が増えると、むしろ、パッシブ的な側面こそが強くなってしまいがち、という点に着目してみたいと思います。

私が個人的に注目している国内株式投信に、野村アセットの運用する「情熱列島」という愛称の「日本次世代経営者ファンド」があります。
設定は22年4月1日。
値上がり益追求型のアクティブ投信です。

運用方針の根幹は、次世代の日本を担うと考えられる経営者(「次世代経営者」)に着目し、中長期的な企業価値向上が期待される企業の株式に投資する、というものです。
「次世代経営者」の定義は、原則として若い経営者(当面は、「代表者が40代以下」等の複数の基準を用います)のうち、
「長期目線の経営」「新しいビジネス機会への挑戦」「構造改革等による企業体質の改善」等を通じて、次世代の日本を担うと考えられる経営者を指します。

野村アセットと言えば、日本を代表する「プロ中のプロ」運用機関として知られ、取扱純資産総額は35兆円超にも及ぶ超大手です。
しかしながら、この「情熱列島」、設定来の基準価額の高値は22年11月の10229円、次点の高値は23年1月の10023円、
この2つ以外の月ベースの基準価額は全て10000円以下と、決してパフォーマンス的には芳しくありません。

22年11月時点での組み入れ銘柄は60銘柄。
正直なところ、中には「この企業って代表者が40代以下じゃないんじゃない?」という銘柄が散見されるものの、それでも「中小型グロース株」として個人投資家の皆様には認知度の高い銘柄が並びます。

一方で、時価総額15兆円超えのキーエンスも組み入れられているのは、このファンドが、決して中小型株ファンドではなく、かつ、アクティブファンドゆえ特定のベンチマークは無いものの、「評価用ベンチマーク」がTOPIXである事から、「ファンド」としての「妥当性及び安定性確保」の観点から、超大型株も組み入れられたものと推察されます。

なぜ、パフォーマンスが冴えないのか?
野村アセットのキャンペーンページによれば、経営者の年齢が平均より若い企業の方が、売上高や営業利益の伸び率が高い傾向が見られ、経営者が若い企業は株式のリターンも高い事が示されています。
https://www.nomura-am.co.jp/special/jpnextgm/?utm_source=n&utm_medium=display&utm_campaign=jpnextgm

あくまでも自論ではありますが、パフォーマンスが上がらない要因のひとつとして考えうるのは、「ファンド」としての「妥当性及び安定性確保」の為に、組み入れ銘柄の数が多数に及び、かつ、アクティブ的な見地では無くパッシブ的な見地で組み入れられた銘柄もあろう、という点です。

「次世代経営者」に着目する、という運用方針と投資対象の切り口は非常に「新鮮」な印象でありながら、その「アクティブ」で「新鮮」な投資シナリオを「ファンド化」してしまうと、「アクティブ」感も「新鮮」さも後退してしまい、むしろ、「パッシブ」感さえ漂う印象を受けます。

このファンドのアセットアロケーションは、国内株式が95%、その他が5%と、株式投信としては充分に「アクティブ」ではありますが、その95%の内訳には、さほど「傾斜感」が無く、バランスよく「分散」されている印象です。
ゆえに、パフォーマンスは大きく下がらない「安定性」がある一方、大幅な上昇も期待できないのかもしれません。

かなり乱暴な見解かもしれませんが、会員様各位の株式投資のお取り組みに「投影」するとしたら、「次世代経営者に着目する」という、「アクティブ」で「新鮮」な投資シナリオ面こそを「参考」とさせてもらい、実際の銘柄選択には「ボトムアップアプローチ」で、数銘柄だけに投資対象を「絞りこんで」、お取り組みいただくというスタンスこそが宜しいように存じます。

昨年は米国の金利政策に怯えながらの株式投資を強いられましたが、弊社では今年を「グロース株の逆襲」の年と位置付けており、中小型グロース株群こそが、積極的な値上がり益を追求する投資対象としては魅力的であろう、と期待しております。

ただし、投資対象銘柄を増やして、分散投資「し過ぎて」しまうと、むしろ「アクティブ」感が後退してしまい、思ったようなパフォーマンスが得られないかもしれない懸念がある、という点を、なんとなくでもご認識いただきたいと存じます。

分散投資で銘柄数を増やすと、リスクは軽減できるどころか増大してしまう可能性もあるのです。
分散投資の概念の根幹は、「リスク分散」であって「銘柄分散」ではありません。
アセットアロケーション(資産の配分)とは、例えば、株式投資6割、事業投資2割、金実物投資2割、といったように、リスクが異なる(と思われる)資産を保有する事で、投資に関わるリスクを分散しよう、という考え方です。

株式投資における対象銘柄を分散しても、根本的にリスク分散にはつながらない、という事を、会員様各位に今一度ご認識・ご確認いただきたいと存じます。



執筆:木村泰章

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 個人的に注目している銘柄
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◆日本一ソフトウェア(3851)
◆マークラインズ(3901)
◆アイティメディア(2148)
◆ライク(2462)
◆Hamee(3134)

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 私のコラムで紹介した銘柄
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◆コアコンセプト・テクノロジー(4371)
2月の3000円割れでご紹介しましたが、3月に入って25日・75日の各移動平均線が絡み合うところを上抜き上伸。
上昇トレンドが形成される初動と見ます。

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 単発スポット銘柄の見解
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◆≪木村泰章のザ・カリナンダイヤ銘柄(****)≫
会員様各位がお好きなハズの「引けピン」となりました!
利確後の買い直しタイミング近しと見ます。

◆≪木村泰章のキャッシュキング銘柄(****)≫
むむむっ。
出来高増加が移動平均線の上抜きに繋がるのか注目致しましょう。

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