株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2023-05-24 14:00:00

アナリスト木村の銘柄研究部

米債務上限問題Xデーよりも、プライム上場企業の「降格宣言」デッドラインの方が気になる

米債務上限問題Xデーが近づくにつれ、その落としどころに関する様々な見解と共に、特に米国の株式市場における「不安定要素=リスク」が高まりつつあります。
一方で、日本の株式市場には、「消去法的な」リスク回避の買いも含め、外国人の買いが流入し続けています。
では、日本の株式市場には、日本固有のリスクは潜んでいないのでしょうか?

詳しい説明は割愛致しますが、22年4月の市場再編からほぼ1年が経過した23年4月1日に、東証規則改正が行われ、新たな市場区分への移行日の前日(22年4月3日)において市場第一部に所属していた「プライム市場」の上場会社は、23年4月1日から同年9月29日までの 期間に限り、「スタンダード市場」への上場を再申請し、例外的に審査無しでスタンダード市場への移行を選択する事ができるようになりました。

一部の上場維持基準を充たさないまま「プライム市場」での上場を維持した場合、経過措置期間終了後に当該基準を充足せず上場廃止となるリスクがある事から、プライム市場上場企業の「降格宣言」が相次いでいます。

4月末の時点で「スタンダード市場」への降格(再選択)を表明した企業は9社でしたが、昨日23日の時点では24社まで拡大(適時開示情報を基に弊社が集計)してきました。
株主(投資家)が、上場廃止リスクを意識せずに、株式を保有・売買できる環境を確保する事こそを、企業側が目指そうとする姿勢の表れと言えましょう。

例えば3月期決算企業の場合、流通株式時価総額などの「プライム市場」上場維持基準は3月末時点の数値を基に審査され、未達の場合は6月末までに改善計画を提出ないし更新する必要があります。
9月末の「特例期間中」に、「スタンダード市場」への移行を申請・表明する為には、6月末までの時点で「プライム残留」意向を示してしまうと、その後に「スタンダード市場」への意向表明をすると矛盾が生じてしまう事となります。

6月下旬には3月決算企業の株主総会が集中する事からも、5月中にも「降格宣言」を経て、株主総会で株主に説明するという順序を踏む企業が増える可能性がありましょう。
つまり、足元の5月下旬から6月の上旬を、「降格宣言」のデッドラインと認識すべきであるように存じます。

毎年決算期末日から3ヶ月以内に株主総会を開催するよう、株式会社は義務付けられており、5月は2月決算企業の株主総会が開催されます。
2月決算企業には、スーパーや百貨店、コンビニなど流通業や小売業・サービス業が多い事も、一般的に広く認知されている事でしょう。
下記、足元では2月決算・5月末の株主総会を予定している企業の駆け込み的な「宣言」も散見されます。

・MORESCO(5018)株主総会5月30日 スタンダード市場再申請発表5月22日
・ハウスコム(3275)株主総会6月16日 スタンダード市場再申請発表5月19日

実質「降格宣言」とも目されるスタンダード再申請表明を行った企業群の株価推移については、一貫性は認められず「まちまち」です。
悪材料出尽くし感もが台頭して買われるケースもあれば、やはり売り材料視されて株価が下落しているケースもあり、一概には「悪材料」とも言い切れません。

あくまでも私見という点はご了承いただきたいのですが、個人的に最も「不安」・「リスクが高い」ケースと考えられるのは、2月決算企業で、株主総会を1週間以内に控えており、かつ、2月末で「プライム市場」の上場基準を充たしていないと想定されるにもかかわらず、現時点で改善計画が提出ないし更新されていない企業、と考えます。

会員様各位にもお馴染みであろうこの企業は、上掲のような経緯を鑑みると、
市場から「ガバナンス面に対する認識不足」とのレッテルを貼られてしまう危険性さえあるように思います。

【ハブ(3030)東証プライム】
2月決算、5月25日株主総会、プライム市場上場基準の流通株式時価総額100億円を充たしていないが、現時点で改善計画の提出・更新を確認できず。



執筆:木村泰章

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 個人的に注目している銘柄
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◆高島(8007)
こちらは現時点でプライム市場上場基準の流通株式時価総額が「未達」ながら、昨日、進捗状況が更新され、改善基調が確認できたケースです。
業績面は今期減益計画ですが、上場維持基準適合に向けた取り組みが評価されて、株価は足元で上昇中。

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 私のコラムで紹介した銘柄
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◆芦森工業(3526)
実はこちらもプライム上場基準未達企業。
上場維持基準適合に向けた取り組みの進捗状況をキチンと示している事も、本日の株価大幅高の一因と見ます。

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 単発スポット銘柄の見解
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◆≪木村泰章のザ・カリナンダイヤ銘柄≫
ほぼ想定どおりの展開です。
怖れず、こっそり、ちょっとずつ、押し目を拾うスタンスでまいりましょう。

◆≪木村ゴールド会員銘柄≫
日経平均と真逆の動きをする事もしばしば。
値持ちの良さは以前と比べるとかなり改善してきました。

◆≪【創業感謝祭2023】大石&石井のキングメソッド銘柄≫
こちらも値持ちの良さは安定している印象です。
切り返し基調は継続しているものと捉えております。

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