株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2023-07-22 09:00:00

アナリスト木村の銘柄研究部

訊くだけ番長と、なんで株価上がらないんですか?は同レベル!?

私どもは基本的に、「掲示板」の類を一切チェック致しません。
もちろん、中には、参考となる「情報や分析」が含まれているケースもある事でしょうが、基本的には個人の見解や思い入れを張り付けただけの「ポジショントーク」が中心と思われ、多分に自身のポジション状況に偏った見解がほとんどでありましょう。

数年ほど前の話ですが、ある個人投資家の方からこんなご質問を受けました。
「掲示板を見ると、買いたい人が100%となっています。なのに株価はが上がらないのは何故ですか?」

「掲示板」という限られたコミュニティーの中で、買いたい人が100%だったとしても、上述のように私どもは「掲示板」をチェックさえしておらず、市場関係者や市場参加者の大多数が、「掲示板」をウォッチしているわけでは無く、仮に掲示板内で買いたい人が100%だったとしても、それが実際の需給状況を正確に反映しているわけではありません。
「掲示板」の内容が気になるというお気持ちはお察し申し上げますが、「役に立たない」ばかりか、いたずらに「不安感を煽られる」というマイナス面こそが大きいような印象です。

この「掲示板」と性質は異なるものの、実は機関投資家や証券会社が利用するシステムにも、「取引への関心」を示す「電子掲示板」的なモノがあります。
IOI(Indication Of Interestの略)と呼ばれ、特定の証券会社と、その証券会社の顧客である複数の機関投資家勢が、比較的大口な取引の意図を提示し取引相手を探す手段のひとつとして活用されてきました。
私の証券会社勤務時には、各社ともにこのIOIシステムの強化が図られていた頃で、さらには、IOIを活用して、いわゆる「ブロックトレード」による利益を上げるという手法が、長年手数料収入に頼ってきた証券各社の、生き残りをかけた重要な収入源として注目され始めた頃でした。

例えば、ある機関投資家から、こんな感じのIOIが飛んできます。
「4005買いたい」
「4063」
「4201のフローに興味あり」
売り買いの意志を明示しているケースもあれば、売り買いの別を示さず興味アリとしか示されていない場合もあります。
例えば、「4005買いたい」という意向がある投資家から寄せられれば、その投資家を除いて、他の投資家勢向けに、証券会社側から「4005買いたし」というメッセージを掲載するわけです。

簡単そう?
楽しそう?
いえいえ、このシステムへのアクセスは、証券会社サイドも投資家サイドもコンプライアンス的観点から厳しく管理され、かつ、これらの情報を基に実際に売買が成立する確率は決して高いわけではありません。
買いたい人と売りたい人双方が居ても、価格が折り合わなかったり、その他さまざまな条件が合わなかったりで、なかなかスカッとシンプルにマッチングが成立しない事こそが現実でしょう。

誰が名付けたか、複数の証券会社の担当者の間で、「訊くだけ番長」とか「口だけ番長」というあだ名が付けられていた、ある国内大手運用会社のトレーダーはこんな感じでした。

投資家(以下「投」):「4005」
木村(以下「キ」):「売り物あります。海外投資家です。」
投:「ウチも売りたい方」
キ:「買い手も居ると思います。探してみますか?」
投:「安くは売らんぞ」
キ:「現値近辺で探しますのでご心配無く」
キ:「2円下なら50万株まで買います。板はご覧のとおり2円下まで売っても12万株しか売れません。」
投:「5分ほど預かっても良い?」
キ:「はい、お預けします」
5分経過しても連絡はありません。
キ:「いかがでしょう?」
投:「ヤメとくわ、ごめん」
30分ほどして株価が下がってくると、ほぼ毎回のようにこんな感じの連絡が来ます。
投:「まだ買いある?」
キ:「直ぐチェックします」
投:「現値じゃなきゃ売らんけど」
キ:「現値でしたら10万株しか買えません。3円下なら30万株までです。」
投:「じゃあいいや。ヤメとくわ」

当該機関投資家とのIOIのやりとりから、実際に約定に至った件数は、数100回にも及ぶやりとりのうち僅か数回程度、と記憶しています。
他の証券会社の担当者勢の声も、ほぼ同様で、頻繁にチェックは来るけど滅多にDone(=Done Deal=約定)できないとの事。
「訊くだけ番長」のその後は知る由もありませんし興味もありません。
「訊くだけ番長」のように、「掲示板」の利用者が皆、実際に投資行動を取っているとは限らず、「掲示板」に書き込みを行う事で相場に参加した気になっていたり、いたずらに不安感を煽ったりしているケースは少なく無いように思います。

「掲示板」ではなく、是非、弊社のホームページ等の各種コンテンツこそをチェックしていただければ幸いに存じます。



執筆:木村泰章

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