池上通信機（6771）

スポーツ中継などに使われる放送機器・システムを提供。放送機器製造で培った技術を、セキュリティやメディカル領域へ広げている。デジタルツインが医療業界へ浸透し、手術にはその技術に対応する高精度なカメラやモニターが求められてくるだろう。同社は4K、8Kの医療機器を製造しており、中長期的なメディカル事業の成長に期待がもてる。また昨今、後発医薬品の製造品質が社会問題となっている。同製造過程における錠剤の品質チェックにおいて、同社の画像処理技術を活かした検査装置の短期的なニーズも高まりそうだ。

11/9に発表した中間決算では、経常損益が黒字に転換（前年同期：11.65億円赤字、今上期：1.36億円黒字）とサプライズ感あふれる内容で着地。成長著しいアジア地域における医療用カメラの販売が業績をけん引したものとみられる。特に中国市場での販売量が拡大したとのことだが、カントリーリスクが最近高まっていることから、同国に依存しない販売経路を確保したいところ。国内市場では、製薬会社向けの検査装置事業が堅調なようなので、ここを更にテコ入れすれば一層業績向上期待が高まろう。

株価はおおむね25日移動平均線を支持線とした上昇トレンドを形成。中間決算発表後、一時的に支持線を割り込むほど売られたものの、短期で巻き返し、同決算発表前の高値を奪回するほど下値の強さがうかがえる。PBR0.44倍（執筆時）という割安感や業績改善期待という好材料が買いを誘った要素だろう。目下悪材料は観測されておらず、今後は3Q決算に期待したマネーの流入が見込まれよう。節目の900円付近で足元では上昇に難儀しているようなので、900円台の値固めが完了したタイミングでエントリーを考えても良いだろう。