東洋建設（1890）

海上土木に強い。「DCM工法（深層混合処理工法）」という軟弱土層と硬化材を海底の位置で混合し、軟弱地盤を改良する工法は水上だけでなく陸上での施工が可能だ。この技術を利用して、軟弱地盤の改良や、海上において風力発電のベースを形成するなど応用も可能と見て、脱炭素エネルギーへの傾斜が求められている中、同社技術に対する引き合いはさらに強くなりそうだ。なお任天堂の創業家のファミリーオフィス「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス（YFO）」が大株主。同ファンドは事業に対し、積極的な改善策を具体案をもって提案しており、業績向上のポテンシャルは高そうだ。

今通期の営業利益は3期ぶりに100億円台（101億円）に乗る見通し。過去最高であった2021年3月期の142億5900万円に近づいてきた。2/8発表の3Q（累計）決算における同利益は76億1700万円（前年同期比48.9％増）で着地。進捗値は75％とまずまず。国内土木事業と、海外建設事業が健闘した模様。特に後者は、前3Qの6億5900万円の赤字から、今期は13億600万円に改善。ODA案件の獲得や、フィリピンの現地法人との民間工事の拡大が寄与した様子。今後は海外、特に東南アジアやインドを収益源に育てれば過去最高利益を更新してもおかしくはなさそうだ。xenoBrain（AI）の総合評価は「B+」と展望良好。気候変動に伴う海面水位上昇等が商機になると分析しているようだ。

株価は1400円を捉えそうな動き。昨年12月に付けたボトムの1070円から強いリバウンドが継続。抵抗線であった100日・75日・25日線をゆうに突破し、ミニゴールデンクロスも示現した。短期的な株価上昇が続く公算は大きいと見るが、25日線との乖離（かいり）率が10～15％以上離れた場合は利益確定売りが発生する可能性も考えられる。仕込み処は慎重に探りたい。節目の1400円を着実に突破したタイミングを狙うのも一策であろう。