日本鋳鉄管（5612）

鋳鉄管業界3位。関東を地盤に上水道向けダクタイル鉄管を主力とする。現在は耐震管に注力しており、GX型とNS型の2種類のダクタイル(球状黒鉛鋳鉄)管を量産し好評を博しているとのことだ。前者はそれまでの耐震管と同等の耐震性能を有しつつ、より狭い掘削幅での接合を可能とし、後者は既存の型の施工性を向上させた耐震接手だ。日本は地震大国とも言え、南海トラフ地震など地震における潜在的天災リスクがつきまとう。同社の高い技術は老朽化した配管の単なる入れ替え需要以上の付加価値を商品に与えていると言えよう。

同社は当期の連結業績予想を発表していない。合理的な算定ができないためとしているが、前期の本決算内の今後の見通しの中で「国や自治体で水道管路を含む水インフラ耐震化の推進施策を立案中」とし、事業環境及びリスク等を総合的に勘案し、算定可能となった時点で開示するとしている。AIのXENOは同社の業績予想の総合評価をB+と分析。その影響シナリオに水力発電利用や自然災害発生頻度を挙げており、アナリストの見解とも一致する。

3/22厚生労働省発表の「水道事業における耐震化の状況（令和４年度）」によれば、水道の耐震化率は依然として低いとのこと。引き続き水道事業者等に対し技術的、財政的支援を行い、耐震化率等の向上を図るとしている。水道においては基幹管路の耐震適合率を2028年度末までに60％以上に引き上げる目標を掲げている。足元の株価も昨年11/1より上昇を続けており、国策関連銘柄として同社の技術にスポットが当たり、今後の株価へも好影響を継続していくものと読む。PBRは執筆時点で0.47倍とバリュー(割安)感があり、国策バリュー株として監視したい。