株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

(一社) 人工知能学会:18801(公社)日本証券アナリスト協会:01159

あすなろ投資顧問

2024-06-04 10:30:00

アナリスト木村の銘柄研究部

日銀も決算発表を行った事をご存知でしたか?

5月の半ばで、3月決算企業の本決算発表シーズンは一巡しましたので、市場関係者の多くは、各企業の決算数値と今期の会社計画を精査し、ポジション調整を行う是非について、検討を始めた段階であろうと存じます。

多くの市場関係者が個別の企業決算にフォーカスしている一方で、相対的に「蚊帳の外」になっている印象の決算発表があるのをご存知でしょうか?

はい、日銀の決算発表です。

実は、日銀の決算発表を読み解くと、今後の金融政策の方向性や、いわゆる「台所事情」を伺い知れる事ができるように思います。
そこで、本日の当コラムでは、日銀の決算発表を受けての、市場関係者の見解を検証しながら、あすなろの見解をご紹介してみたいと思います。

日銀は5月29日に令和5年度(2023年度)決算を発表しました。
経常利益は5兆858億円と前期から1兆3,256億円の大幅増加となりました。
保有する国債の利息収入が前期比+3,804億円、円安によって保有する外貨建て資産の評価益が増加し、外国為替収益が+7,859億円となっています。
加えて、ETFの分配金などが1兆2,356億円の大幅増加となった事が、収益拡大に大きく寄与した形です。

2024年3月末時点での国債保有額は、簿価で589.6兆円、時価で580.2兆円であった為、日銀は国債の「含み損」(評価損)を9.4兆円抱えている計算となり、この数値は2023年3月末の0.2兆円から大幅に拡大しました。
国債の買い入れを減額して、その結果債券価格が下がって金利が上がると、この含み損は更に拡大する事が見込まれます。

国内大手証券のリサーチ機関は下記のような見解を示しています。
『日本銀行がこの先、保有国債を削減する量的引き締め(QT)に転じる中でも、保有国債の削減は償還を通じて緩やかに行う可能性が高く、国債の売却損が生じる可能性は高くないだろう。』

あすなろの見解も同様です。
まずは国債買い入れを少しずつ縮小しながら、実現損が発生する事を回避しつつ、持ち高を徐々に削減する以外に選択肢は無いように思います。

同リサーチ機関は次のようにも指摘しています。
『日本銀行が政策金利(付利金利)を+0.6%まで引き上げると、日本銀行は経常赤字に陥いり、+2.8%まで引き上げると、日本銀行は債務超過に陥ることになる。』

恐ろしい試算ですね。
上掲の保有国債削減(QT)と併せて、マイナス金利解除後の日銀の「台所事情」的にも、一気に利上げとはならない可能性が高い事が窺い知れるように思います。

株式市場に対する直接的な影響が比較的大きいと思われるETFについても見てみましょう。

2024年3月末の保有ETFの簿価は37.2兆円、時価74.5兆円だった事が明らかになりました。
日銀はプライム市場の時価総額の7.7%を保有していた事になります。

日銀は既に、3月19日の金融政策決定会合で、ETF購入を正式に停止し、4月25~26日の政策決定会合の主な意見では、ETFの処分についても議論が始まっていることを示唆しています。
上掲のような、保有国債の含み損をも考慮すると、含み益のあるETFを売却して「リバランス」する可能性もありましょう。

先に挙げた、国内大手証券とは別の大手証券は次のように指摘しています。
『日銀は決算発表で2023年度に時価1,540億円の株式を売却した事を明らかにした。2023年度のETF購入額はわずか700億円だったので、コロナ禍のピーク時に5兆円超のETF・株式を購入した日銀が、ネット(通算)で840億円の売り越しに転じたことになる。』

既に、「思惑先行ベース」で株式市場にも、影響が出始めていると指摘する市場関係者も出てきました。
『民鉄はインバウンド増加の恩恵を受け決算が良かったにもかかわらず、株価が下落しているが、この背景には日銀のETF売却懸念等が反映していると考えられる。』

民鉄やJRには持合株保有解消に消極的な企業が多いと目される事から、「思惑先行ベース」の売りが及んでいるとの見解です。

個人的には、やや先走りし過ぎとの印象ですが、日経平均を始め、日本の株式市場の方向感がなかなか定まって来ないのも、ひょっとすると、日銀決算を深読みした機関投資家勢を中心に、今週以降の「中銀ウィーク」の動向を見極めようとしているから、と考えられるかもしれません。



執筆:木村泰章

━━━━━━━━━━━━━━
 個人的に注目している銘柄
━━━━━━━━━━━━━━
日銀が保有するETFはプライム市場に属する銘柄群(TOPIX採用銘柄群)です。
スタンダード市場やグロース市場に属する中小型成長株群は需給面での直接的な影響を受けません。
引き続き、需給面中小型成長株群こそにフォーカスしたいと存じます。

━━━━━━━━━━━━━
 単発スポット銘柄の見解
━━━━━━━━━━━━━
◆≪利益ザクザク☆ゴールデン大儲け銘柄【ゴールデン8倍賞銘柄】≫
 株主還元策に前向きな企業の株価は崩れませんね。
 スタンダード市場に属する銘柄ですし。

◆≪集まれ!みんなのあすなろ短期高騰祭り!【ハッピー8倍賞銘柄】≫
 値持ち良し。
 今週も銘柄公開後の高値を更新する可能性大と見ます。

◆≪裏道王道銘柄【頂】≫
 25日移動平均線を上回り始め、逆襲の狼煙と見ます。

◆≪あすなろダイヤモンドセレクト銘柄≫
 株価は底入れ反転に向かい始めました。
 代替エネルギー関連全般に対する市場の興味の高さを裏付けるような動き。

無料新着記事

記事一覧へ

今ご登録で特典5銘柄+大石銘柄+5000ptをプレゼント!

今すぐ無料登録 クリック