株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

(一社) 人工知能学会:18801(公社)日本証券アナリスト協会:01159

あすなろ投資顧問

2016-09-04 15:00:00

あすなろスコープ

あすなろスコープ 「2段階上げ」

【9/4】あすなろスコープ 「2段階上げ」
今後気になる企業を調査!対象企業のIR担当者への突撃取材で生の声をお届けします。

東京応化工業(4186)

半導体製造工程で使用されるフォトレジストで世界トップクラス。関連機器や液晶用の化学薬品も展開。新規事業開拓のほか、従来の3次元NANDフラッシュメモリー向けでもシェア拡大を狙う。

同社の競争力の源泉ともなっているフォトレジストは経済産業省が選定するGNT(グローバル・ニッチ・トップ)企業たるコア製品。フォトレジストとは、光に反応して化学的に作用・変化する樹脂で、感光性樹脂とも呼ばれる。

同社の半導体用フォトレジストは、パソコン・携帯・家電製品・自動車など、産業活動や社会生活において不可欠なこれら製品の中枢をなす半導体を製造する際に使用される材料となる。現在は微細加工化がより一層進み、最先端のArF用など高付加価値製品が伸びている。世界における同社のシェアは約3割を占め、世界首位級。

同社は今年から3カ年の中期計画「tok中期計画2018」を始動。計画達成に向けて【1.ありたい姿に向け積極投資を継続】【2.最終年度には過去最高益(営業利益150億円)を更新】【3.ROE 目標は 7%以上、株主還元を強化】を打ち出している。

足元では8/3に17年3月期第1Qの連結経常利益は前年同期比49.4%減の20.4億円に落ち込んだが、上期計画の37億円に対する進捗率は55.2%に達している。減益見通しの背景には材料事業で、パソコンやタブレット端末の需要の落ち込みに加え、スマートフォン市場の成長が鈍化を挙げており、一方、装置事業においては、出荷済み装置の検収遅延、3次元実装市場の立上がりの遅れによる顧客の設備投資先送りの影響を受けているとのこと。

また、今回4月に起こった熊本地震の影響で同社の阿蘇工場における一部被災設備の復旧対応に係る臨時的な費用支出として87百万円の特別損失を計上しているほか、足元の円高による為替換算調整額として約13.8億円も利益の押し下げ要因となっている。

同社を担当するアナリストによれば、「会社の弱気予想ほど悪い内容ではなく、目先の悪材料出尽くしとなると指摘。通期の連結純利益は会社予想53億円に対し60億円(前期比22%減)と増額修正を見込んでいる。半導体材料での微細化と3次元化の両睨み戦略は他社にない強みであり、特に3次元NANDは量産化が始まれば同社は最も恩恵を享受できる可能性が高いとしている。

投資判断を2段階引き上げる強気ぶりだ。ただし、後段で記す同社インタビューをしたところ、たしかに業績上振れの可能性は充分に考えられるという印象を受けた。

スマートフォンの大容量化やIoT(Internet of Things)本格化で半導体需要は急拡大しており、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は新高値を更新、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が発表するBBレシオは反転上昇。日本製の半導体製造装置におけるBBレシオも昨年末から上昇基調を保っている。

中でも高い注目を集めるのが「3次元NANDフラッシュメモリー」の需要急拡大や回路微細化に伴う「10ナノ(N10)」への投資活発化で、半導体関連銘柄上昇の背景となっている。

同社が手がけている3D-NANDはフラッシュメモリー上にある「セル」と呼ばれるデータを保存する部分を平面ではなく3次元構造に積み上げて大容量化したもので、スマートフォンやデータセンターサーバーなどへの搭載が進んでいる。

特にIoTの本格化による「ビッグデータ」の保存需要が拡大しており、保存先として3D-NANDがその中心的役割を担う。

その動きは世界的な流れの中にあり、韓国サムスン電子社が積極投資を進めているほか、米国インテル社も設備投資を積極化。日本では東芝(6502)が2018年度までに8600億円を投資して同製品の生産比率を50%に引き上げる方針を打ち出している。

同社の広報担当の方によると、今期は中期経営計画策定の初年度にあたり、今後3年間で340億円の設備投資を行う予定で今期は110億円を見込む。5年かけて償却されると思われる。

同社想定では地域別ではアジア圏の売上が大きいものの為替面での影響の方が懸念材料とのこと。今期は想定為替レートをドル円は105円でひいており、1円あたり2億円の振れ幅になる。為替市場の円安に進展がみられれば同社業績を大きく回復させる要因となり得よう。

シリコン貫通電極形成システム「ゼロニュートン」の出荷済み製品の検収遅延の売上計上時期については通期で47億円が見込まれているものの、進捗が1Qで2億円、2Qで12億円で通過。残りの33億円分を下期の売上寄与材料として期待される。

上記材料を踏まえると、同社における先行き見通しはやや保守的と感じられ、業績を押し下げる為替水準に回復の兆しが出てくれば、減収幅をどこまで巻き返せるかに焦点が集まるだろう。

現在の株価は妥当な水準まで回復してきていると言えるが、上記の世界的な半導体の潜在需要がより鮮明化してくる中においては、将来期待の成長株としての一面も垣間見える。


東京応化工業(4186)(東証1部)
株価:3165円
業種:化学
単元株数:100株
PER:25.94倍
PBR:0.95倍

担当:加藤あきら

無料新着記事

記事一覧へ

今ご登録で特典5銘柄+大石銘柄+5000ptをプレゼント!

今すぐ無料登録 クリック