まず最初に申し上げておきますが、この仰天シナリオは、決して、天変地異がもたらした被害を茶化したりするものではありません。
この度の、LA近郊の大規模山火事で、直接的にも間接的にも、なんらかの被害を被られた方々には、心よりお見舞い申し上げたいと存じます。

JPモルガンの保険セクターのアナリストは、7日付のレポートで、主に、LA近郊のパシフィックパリセーズの住宅街に影響を与えた山火事による損失被害は、100億ドルに達するとの試算を発表しました。
併せて、カリフォルニア州においてトップシェアを保持している火災保険会社として、Farmers Insurance 6.9％、 Berkshire Hathaway Inc 6.6％、Travelers Cos. Inc 6.3％と指摘しました。

ブルームバーグが昨年3月に報じたところによると、バークシャー・ハサウェイは大規模な山火事が発生する度に、巨額の損害賠償支払いに苦しんできた事が窺えます。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-06/S9WC9HT0G1KW00

トランプ次期大統領は、バイデン大統領とニューサム知事を名指しして、山火事への対応の遅れを「政治的に」責め、被害総額は米国史上最悪になる可能性もある、と指摘しました。
https://mainichi.jp/articles/20250109/k00/00m/030/004000c

奇しくも、「トランプトレード」などという、思惑先行の投資手法が、さも「妥当」であるような報道が相次いできましたが、未曽有の規模の山火事被害に乗じるような形で、現政権を批判したトランプ氏は、大統領就任後の最初の仕事のひとつとして、過去にも何度となく「政治的駆け引き」の「引き合い」に出された、地球温暖化と気候変動/気候変動対策の国際的枠組みへの回帰の是非/山火事を防止する為の森林管理、などについて何かしらの行動を取らざるを得ないでしょう。

ご参考までに、山火事が排出する二酸化炭素の量は凄まじく、NASAはカナダで2023年に猛威を振るった山火事で放出された二酸化炭素（CO2）が、日本の年間排出量を大きく上回るとの分析を示しました。
https://mainichi.jp/articles/20240829/k00/00m/040/004000c
トランプ氏はカナダを米国の州のひとつに編入するなどとの暴言を示しましたが、山火事事情からCO2排出量の増大懸念を考慮すれば、実現の確率はほぼゼロと見ます。

法人税の引き下げや各種規制の緩和の為には、その分の財源として関税の引上げはやむ無しでしょうし、莫大な火災保険金の支払いで保険会社の倒産が懸念され、楽観視が支配的だった米国の経済状態はジワジワと悪化するものと見ます。
FRBはインフレ懸念の為に利下げのタイミングを見送ってきましたが、この先は待った無しに利下げへ進まざるを得ないものと考えます。

あくまでも個人的見解ですが、今のところ、トランプ氏の発言で「最も妥当」と思われるのは、この度のLA近郊の山火事が引き起こした「被害総額は米国史上最悪になる」、という点だけであるように思います。

大谷選手が購入したとされる大豪邸が位置するエリアにも山火事は飛び火し始めた模様です。
UCLAは先ほど、キャンパス自体は閉鎖しないものの、明日と明後日の休講を発表しました。
ようやく私の娘からも、学友と連れだって、LAの南側に位置する学友宅に避難したとの連絡がありました。
バイデン大統領は予定されていたイタリア訪問を取りやめ、今後数日間は、山火事被害に対する連邦政府の全面的な対応を、指揮する事に集中し続ける事を明らかにしました。

なのに、最も大規模な火災となった2地域の消火活動の進捗状況は未だに「0％」です。

今回の災害が、LAの、カリフォルニアの、強いては米国全体の経済に悪影響を及ぼす可能性も、想像を絶する規模になるやもしれません。
米国株は買えない、中国株も怖い、ならば消去法的にも安心して買えるのは、やっぱり日本株だけではないでしょうか。



執筆：木村泰章

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　米国市場でもトイレタリー関連が強かった事を受けた動きでしょう。
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