エアウォータ（4088）

工業用ガス大手で医療用酸素で国内首位を誇り、鉄鋼や半導体向けなど幅広い産業に不可欠な製品を供給。M＆Aで事業領域を拡大し、ガスだけでなく無停電電源装置（UPS）や塩・食品まで手掛ける独自の総合力が強みであろう。また、北米・インドを含む海外展開も積極化し、グローバルな成長市場を開拓。「データセンター」需要を支えるUPS事業や海外ガス事業の好調に加え、半導体関連事業の本格展開が収益を牽引し、足元で最高益を更新。熊本県に半導体材料の新拠点を設け、2026年春には本社を大阪・梅田の大型開発地区へ移転予定で、成長戦略を加速する構えが見られる。世界的な半導体需要と国内産業集積の追い風を受け、今後も成長が期待されるであろう。

2/7には3Q決算を発表しており、経常利益は531.32億円（前年同期比7.8％増）で着地。会社策定の今期通期予想値に対する進捗率は69.9％とややビハインド。今3Q決算（単体）において、過去最高経常利益を計上しており、今期末及び来期の展望はポジティブに見ている。3Q決算発表当日には、同時に医療用衛生材料を手掛ける川本産業に対する公開買付け（TOB）の開始を発表。今後は医療用の化学素材だけでなく、「マスク」や「ガーゼ」なども供給できる体制を整え、医療業界に関する事業の売上が向上する期待感も膨らむ。なおAIのXENOによると、今期通期における税引前利益は増益予測。AIも今後の成長シナリオをポジティブに分析している事がうかがえよう。

足元の株価は1850円～1950円のレンジでのもみ合い商状が見られる。2/7の決算発表後は一旦下押ししたものの、直近では持ちなおしており、素直にファンダメンタル面の推移に将来性を見出した投資家の買いが足元における株高の背景にあると思われる。未だ指標面ではPBRは0.9倍台（執筆時点）と伸びしろがあり、割安感と将来性を鑑みて、今後も見直し買いが大量に入ってくる可能性も考えられる。とにかくまずは、レンジ上限である1950円を着実に超えてから、仕込み場を探るのがベター。終値ベースで1950円以上を付けても、その後売られるケースも見られるため、一週間以上1950円上を維持できたタイミングを狙ってみるのも一考。