私が、FRBは(少なくとも今回は)利下げしないと思う根拠
FRBが利下げに踏み切れば、ドルが売られて円高が進み、それが、日本株にも悪影響を及ぼしかねない、との懸念がくすぶっているからこそ、日経平均をはじめ、主力級大型株の上値が重いわけですね。
目先の重要イベントと目されるのは下記のとおりです。
・6月6日:米雇用統計
・6月11日:米5月CPI
・6月15日~17日:G7サミット
・6月16日~17日:日銀金融政策決定会合
・6月17日~18日:米FOMC
上記のうち、日銀の金融政策決定会合については、利上げが見送られるとの見解が支配的で、サプライズは無いでしょう。
G7サミットでは、日米首脳会談が行われ、おそらく、関税問題に関しては、大きく進展は無くとも米国側の若干の譲歩で妥協する可能性が高いものと考えます。
米英に続き、日米もなんらかの関税問題の妥協合意が行われる事により、米国はEUに対して圧力を掛けたいのでしょう。
個人的には、FRBは今回のFOMCでも利下げを見送るものと見ます。
その根拠は、「関税によるインフレ圧力と移民制限という労働供給制約」こそを重視して、利下げ「できない」状況にあると見る為です。
米国の大手証券の一角は、6月11日に発表予定の米5月CPIを受けて、関税によるインフレの影響が初めて現れると予想しており、その影響は今後数ヶ月で顕著になる見通しだと指摘しています。
市場は2025年中の2回の利下げを織り込んでいる一方で、同証券は2025年中の利下げはないと予想しており、新しいデータやFOMC会合のたびに、市場が目先の利下げの可能性を排除する可能性は高まると指摘しています。
加えて、2025年第3四半期までは、ドル/円は底堅く推移する可能性があり、2025年末までに円は1ドル140円まで緩やかに上昇し、2026年には米国の政策転換に伴いさらに上昇すると予想しています。
また、日本株の為替感応度は大幅に低下しており、緩やかな円高は日本の回復を妨げる要因にはならない、とも指摘しています。
米国経済減速の明確な兆候が確認されないうちは、市場が米政策金利のターミナルレートの織り込みを、下方方向に大幅にリプライシングする事は無い、としています。
個人的には、同証券の見解が最もFRBの、米国金利政策の、ドル円の現状を明確に代弁しているものと感じる次第です。
言い換えれば、米国の景気悪化は、市場関係者が懸念するほどのペースでは進んでおらず、現段階では未だインフレこそに歯止めをかける事が必要、という事になりましょう。
執筆:木村泰章
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