山陽電気鉄道（9052）

兵庫県南西部、神戸と姫路を結ぶ大動脈を担う。その事業の根幹は、もちろん鉄道事業。しかし、同社の魅力はそれだけにとどまらない。沿線を中心に展開する不動産事業や、須磨浦山上遊園などのレジャー事業も手掛け、地域経済に深く根差した多角的な収益構造を持つ。この「地域密着」こそが最大の強みとみている。沿線人口の維持・拡大に向けた取り組みは、そのまま企業の成長へと直結する。今後は、インバウンド（訪日外国人）需要拡大による旅客輸送事業の拡張などが、同社の成長を後押しする大きな追い風となることが期待されよう。

直近発表の前期本決算は、一般的な売上高にあたる営業収益は384億8900万円、営業利益40億6500万円での着地。前期の大型マンション分譲の反動で不動産事業が減収となり、連結では減益となった。しかし、事業の核である運輸業に目を向ければ、沿線の活況や行楽需要を背景に増収増益を確保しており、本業の底堅さが光る内容とみている。今期は、人件費や動力費の増加で営業利益こそ減益予想ながら、運輸業の運賃改定効果などから最終純利益は34億1600万円（前期比12.7%増）と2桁増益を見込む。コスト増を吸収して最終増益を確保する計画に、同社の経営手腕が窺えよう。

株価は4月のショック相場で底を打った後、マドを空けて大きく上昇し、長期のレジスタンスであった75日線と200日移動平均線を一気に突破。この力強い動きは、市場の期待感の表れと解釈できよう。その後はもみ合い商状からやや下ブレしつつあり、足元では調整局面入り。しかし、抵抗線である25日線をじわじわと抜けるような局面を見せており、リバウンドを狙う好機となりそうだ。週足の一目均衡表では雲に突入。雲を着実に抜けることで、中長期的な上昇トレンドへの転換が意識される。