平和不動産（8803）

証券取引所関連施設やオフィスを核に、開発・賃貸・管理・売却までを一気通貫で回すビルディング事業が主軸。スポンサーとして平和不動産リート投資法人を支え、アセットマネジメントとプロパティマネジメントを束ねるバリューチェーンを構築する点が強みと見る。日本橋兜町・茅場町での段階的な再開発を推進し、KABUTO ONEのような金融コミュニティ拠点整備で需要創出を図る姿勢。都心好立地の稼働と再開発の積み上げにより、中長期の安定キャッシュフローと成長投資の両立が期待できよう。

2026年3月期1Qは売上高が前年同期比で増加、ビルディング事業の伸長が牽引。オフィスの稼働や物件入れ替えの効果が表れ、営業利益・経常利益も増益基調で推移したと整理される。AM事業は安定推移で、スポンサー機能による手数料収入とグループ運営の一体化が効いている構図。短期的には金利情勢や開発コストの変動が利益率のブレ要因となるが、都心賃料の底堅さと保有・運用の両輪により、通期も安定トレンドを維持しやすいとみる。数字の細部よりも、賃貸収益の粘り強さと再開発の進捗を点検する姿勢が重要。

直近は2300円台でのもみ合い圏。8月後半にかけての戻りで25日線近傍の攻防が続き、75日線との位置関係は大崩れなく推移。出来高は突発的な膨らみが限定的で、信用需給はやや買い長の局面が残る印象。上値は直近高値付近のしこりを意識しつつ、200日線が下値の目安として意識されやすい。賃料収益の安定と配当妙味が評価される地合いでは、25日線の上方キープでじわりとトレンド転換を探る展開が想定されよう。反面、金利急変や市況悪化時にはレンジ下限の試しも想定し、逆指値などリスク管理を併走させたい。