株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2016-11-03 09:00:00

元外資系金融マンのこぼれ話し

元外資系金融マンのこぼれ話 「米大統領選の予習」

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【11/3】元外資系金融マンのこぼれ話 〜米大統領選の予習〜

今週もお取り組みお疲れ様です。

ここにきて、米大統領選をめぐる攻防戦は混迷を深めていますね。

神経質な動きとなっている株式市場でうまく立ち回る必要がありますので、このリスクイベントを通過するまではポジション管理をしっかり行っていきましょう。

気になる大統領選後の動きについてですが、どちらの候補が大統領に就任することになっても対応できるようにしておくのが肝要です。

特に気になるのは劣勢を巻き返すトランプ氏が大統領になった場合ではないでしょうか?

景気のいいことは言いますが、明確な公約を打ち出さない同氏です。

その中でもいくつか提示された政策を挙げると・・・

・法人税の緩和や個人税率の引き下げ
・オバマケアの廃止
・イエレンFRB議長の更迭
・国防費の上限撤廃

他にもありますが、今回これを取り上げたのには理由があります。

これら政策により、アメリカの財政赤字が爆発的に増えると

予想されております。

現在、アメリカの財政赤字の対GDP比は75%程度ですが

トランプ氏の政策がすべて実行されれば同数字が10年後には127%という試算もあります。

この資産が意味することは・・・

アメリカの膨大な財政赤字による「ドル安懸念の台頭」です。

とにかく、同氏が大統領になるようであれば

為替相場は「円高・ドル安」に動く可能性は排除できません。

日本株に投資をする際のリスクとして念頭に入れておく必要があります。

また、同盟国に対しては軍事費のの負担増を求めており

日本においては、トランプ大統領誕生の折にはミサイル防衛等向けに更なる軍事費計上が予想されます・・・

ちなみにヒラリー氏の政策でも財政赤字は多少増加しますが

10年後の対GDP比に財政赤字は87%程度と見られております。

将来的な経済リターンを見込んだ財政政策という点は評価されそうです。

最後に、最低限の両候補政策を確認しておきたいと思います。

大まかな項目としてキーワードになるのは

【税制】【金融機関への対応】【TPP・通商政策】【移民対策】【対日政策】

この5つに絞られるかと思います。

米国は「人種のるつぼ」ですから、低所得者層から高所得者層まで幅広い支持層を取り込まなくてはなりません。

その中で、重要視されるのが【税制】です。

民主党クリントン氏は年収100万ドル以上の所得税率を30%に引き上げ、富裕層への課税強化を掲げています。また、海外移転企業に対しては「出国税」も検討している模様です。

実に民主党らしい大衆寄りの政策です。

一方、トランプ氏は低所得者層の税率をゼロに。法人税率を35%から15%に引き下げることを掲げています。大胆な政策ですが、減税規模は10年で10兆ドルとの試算もあり、財源に至っては不明です。(笑)

クリントン氏は現実路線、トランプ氏はアメリカンドリームを実現させるようなコントラストがあります。

続いて【金融機関】への対応策、つまりは米国で力を持つウォール街への対応と金融政策への影響です。

クリントン氏はリーマンショック以降の金融規制をさらに強化、巨大な金融機関に対してはリスク手数料を賦課する構想があります。

トランプ氏は金融規制法(ドッド・フランク法)の撤廃、ヘッジファンド等に対しては増税、低金利を活用して長期国債の借換を検討しています。

つまり、クリントン氏は現状路線を維持、トランプ氏は低金利政策を維持したい思惑が透けて見えます。

そして、最近日本でも衆議院通過に至った【TPP含む通商政策】についてです。

両者とも現状のTPP案には反対を示しており、若干クリントン氏の方は条件付加で妥協賛成の可能性があります。

また、通商取引にかかわる為替政策についてはクリントン氏は日本・中国を為替操作していると批判しておりますし、トランプ氏は一歩踏み込んで関税導入を訴えています。

トランプ氏が予備選で大きく注目を集めるきっかけとなった【移民政策】についても見ておいた方がよいかもしれません。

ニュースでも度々報じられているとおり、トランプ氏は不法移民に対しては断固たる措置をとる模様で国外追放を掲げています。一方で、クリントン氏は市民権を付与して柔和政策をとる予定です。

最後に【対日政策】も抑えておきましょう。

上記の通商政策にもありますが、両社共通なのは日本の為替政策に対して円安誘導していると批判する姿勢です。

トランプ氏はそれに加えて、日米安保条約は不公平とし、在日米軍の駐留経費全額負担を求めています。

トランプ政策の財源は日本頼みというところなのでしょうか。

米国債を巨額に保有する日本、中国にとっては為替政策を批判されるにとどまらず、低利で資金を米国に還流するようなトランプ政策は国益を考えた場合大きく不利に働きそうです。

現状で政策面というより双方のスキャンダル闘争と化している米大統領選ですが、世界の枠組みにも大きな影響力をもっていますから、否が応にも視線は集まりますね。

注目の投開票スケジュールは、投開票時間として日本時間で8日の20時〜9日の14時頃までを予定されており、開票結果は早くて9日のザラ場中にどちらかの勝利宣言が伝わってくる見込みです。

現時点ではクリントン候補のeメール問題の再燃によって、どちらが優勢とも言えない状況になってしまいましたが接戦が続くようですと数日かけて当確が出てくるということもあり得ます。

市場ではこうした不透明感を嫌うために、昨日の東京市場は売り一色となりましたが、リスクイベントを通過した後は投資家も冷静さを取り戻して、再び買戻しの動きも出てくるかと思われます。

背景として、10月に入って以降の投資家売買動向をもう一度確認していただき、買いの主体であった外国人がリスクオフに傾いたと考えておくべきでしょう。

根拠のない楽観論を唱えるつもりはありませんが、現時点ですでに裁定買い残は歴史的低水準にあるために、強引な売りポジションは取りづらい環境に違いはありませんので、下げ止まることを確認して押し目買いすべき銘柄、損出しすべき銘柄をしっかりと選別していきましょう。

こんな環境下ですので、短期目線でも取り組めそうな銘柄を紹介しておきます。
東テク(9960)
センコー(9069)
キッツ(6498)
新明和工業(7224)

※【売り】資生堂(4911)


【 相 場 の 格 言 】
『知識は本でも学べるが、勘は実戦で強くなる』


今週のお取り組みも残すところ明日で最後になります。
また会員様の喜びの声が聞けることを楽しみにしています。


執筆:加藤あきら


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