Ｅ・Ｊホールディングス（2153）

道路や橋の設計から工事監督まで、まさに「縁の下の力持ち」を地でいく会社である。これまでお役所仕事が8割という、いかにも堅い商売をしていたが、昨年9月に東京ソイルリサーチという会社を買収して民間ビジネスにも本腰を入れ始めた。「今度は稼げる仕事もやるぞ」とばかりに事業の幅を広げている格好だ。国のインフラ整備という手堅いお客さんを持ちながら、新しい分野でも腕を磨こうという姿勢は評価できる。真面目一筋だった優等生が「たまには遊びも覚えよう」と言い出したような変化であり、この多角化戦略が功を奏する可能性は高いと見られよう。

2025年5月期の数字を見ると、なかなかどうして優秀である。売上高427億円で前年より14.8%も伸ばし、利益も44億円と堅調な伸びを示した。買収した会社の貢献が38億円あったとはいえ、本業も地味にしっかり成長している。今年の第1四半期は受注が31.5%増、売上が39.1%増という派手な数字を叩き出した。「地味な会社」という先入観を吹き飛ばすような勢いである。来期は売上470億円、利益50億円という過去最高を狙っており、2028年には売上500億円という大台突破を目論んでいる。堅実経営で知られた会社が「俺たちだって成長できるんだ」と気合を入れているような印象を受けよう。

株価1700円台という水準は、年初来高値から1割ほど下がったところで踏ん張っている状況だ。PER8.78倍、PBR0.86倍という数字を見ると「え、こんなに安いの？」と二度見してしまうレベルの割安感がある。おまけに配当利回り4%超えという高配当まで付いてくるのだから、まさに「お得感満載」の銘柄である。決算発表後も株価は淡々としているが、これだけ業績が好調なら「そのうち市場も気づくでしょ」という感じで構えていられる。チャートを見ても底堅い動きを見せており、「まあ、焦らずじっくり待ちましょうや」といった雰囲気が漂っている。真面目な会社の株らしく、派手さはないが着実に価値を積み上げていく可能性が高いと判断されよう。