クロスキャット（2307）

公共・医療・産業向けのシステムインテグレーションを中核とし、業務系システムの構築と保守、データ分析や業務効率化支援を収益柱としている。高い開発品質と業界知見により顧客との長期契約が取りやすく、ストック収入化が進めば収益の安定化が見込まれる一方、人手依存とプロジェクト採算の管理が成長の足かせとなり得る。現状は受注の質で利益率を改善しており、SaaS化や運用保守比率の拡大が実現すればマージン拡大につながる可能性が高いと考えられる。

上方修正は一時的な好転にとどまらない構造的改善の示唆である。上半期の営業利益予想は7.6億円から8.7億円へ引き上げられ、背景は金融向け案件の想定超過と開発生産性の向上による売上原価率の低下である。通期売上19.3億円を据え置いた慎重姿勢は残るが、市場は下期の進捗次第で上振れを織り込みやすい状況にある。投資家が注視すべきは受注残の採算性と下期案件の進捗状況、外注比率と一人当たり生産性の持続性、さらに営業キャッシュフローの改善である。生産性向上が恒常化すれば営業利率の構造改善が確認され、評価の上振れや配当余地の拡大につながる可能性が高い。

現在値は約1103円付近。直近高値約1287円からの下落で短中期移動平均線が上向きから下向きへ転換しつつあり、短期モメンタムは弱い。複数の移動平均線が1100円付近で集まっており、長期的な支持帯と短期抵抗帯が接近している状態である。出来高は先行した上昇局面で大きく増えたが、その後は低下しており、直近の反発は出来高を伴わない「戻り」に見える。ローソクは下押し後の下ヒゲを残しており、1100円付近で買いの反応が出ているが確度は高くないだろう。まずは底打ちを待つのがベター。