東亜建設工業（1885）

東亜建設工業は、港湾・空港・防波堤・浚渫や地盤改良などの海上土木に強みを持つ総合建設。国内外で港湾再編や物流施設の大型案件を手掛け、建築も倉庫や医療・福祉施設に広がる多角構造。国の防災減災と国土強靭化、ならびに防衛関連インフラの継続的投資が追い風と見る。大型港湾案件の採算是正、設計提案型の受注増、地盤改良や環境配慮型工法の知見を組み合わせた一体運営が、案件選別の精度と利益率の底上げに寄与しよう。海外は東南アジアを中心に選択集中を進め、為替や資機材の変動を抑える契約設計で収益安定を図る構え。

直近四半期は売上・利益ともに伸長。270％の営業増益に息を呑む。大型港湾の進捗と不採算の減少で営業採算が改善したことが奏功したと解する。国内土木は高採算案件がけん引、建築は倉庫・物流の大型案件が進み、海外も一部案件の採算改善が寄与。個別受注は官公需に加え民需も増勢で、手持ちの厚みが次期以降の見通しを支える形。通期計画は保守的なレンジに据え置きつつ、配当方針は安定重視。物価や労務コストは注視点ながら、工程管理と契約更改で吸収余地があると見る。受注の平準化と採算選別が続けば、年度後半に向けた利益進捗のブレは抑制されよう。

株価は中長期でインフラ循環に連動しやすい性格。短期はイベント（決算・受注開示）で上下に振れやすく、トレンド判定は25日線と75日線の傾き・乖離の縮小拡大に注目したい。出来高を伴う上抜けが続けば直近高値帯が支持へ転化するシナリオ、失速ならボリンジャー中心線や13週線付近での押し目形成を想定。建設セクターの資金流入が強い局面では相対強度が増しやすい一方、資機材価格や為替ニュースで感応度が高まる点はリスク。指値分散と時間分散を基本に、材料発表後の出来高の質（増加の持続性）を確認しながら、段階的に評価したい。