日本信号（6741）

鉄道の信号・連動装置、改札や券売機を束ねるAFC、ホームドア、道路の交通管制を核に安全×効率を提供する社会インフラ企業である（豆知識：AFC＝Automatic Fare Collection。運賃収受の中枢システム）｡ 根っこにある思想はフェールセーフで、異常時は安全側に倒す設計が徹底される（豆知識：信号不明なら赤に落とす等）。国内は老朽更新と駅のタッチ決済拡大、海外は都市鉄道の新設・高度化が柱。タッチ決済は都営地下鉄で対象駅が順次拡大しており、駅務の省力化や訪日客の取り込みに資するとみる。信号機器×AFC×ICTを一体で提案できる点が、複雑な運行課題への解法となりやすい。

2026年3月期1Qは受注291.28億円、売上高180.62億円、営業損失4.90億円、経常利益2.36億円、親会社株主に帰属する四半期純損失4.00億円。期首は赤字発進だが、同社は期末偏重の検収が通例で、受注は前年同期比で増加と読む。会社計画は通期で売上高1080億円、営業利益100億円、経常利益108億円、当期純利益75億円。コスト上振れは注視点ながら、契約条件の見直しと保守・運用の継続収益で振れ幅を抑える運営が続こう。中計ではO&Mの拡大と駅務DX（AFCやタッチ決済）の横展開を掲げ、国内の更新投資と海外の新設案件の二輪で成長の土台づくりを進める構図。

株価は決算と大型受注ヘッドラインに敏感である。短期は25日線と75日線の向き、直近高値帯の上抜けに出来高の持続が伴うかを重視。上抜けが続けば高値帯の抵抗が支持に転化するシナリオ、失速ならボリンジャー中心線や13週線付近での押し目形成を想定（豆知識：イベント後は“出来高の質”＝増加が続くかを確認）。テーマ面ではタッチ決済乗車の拡大や海外の都市交通案件が思惑材料になりやすい一方、公共投資の工程遅延や為替はボラ要因。信号・AFCはライフサイクル収益が積み上がりやすいため、ニュースで過度に振れた局面ほど、段階的な時間分散で評価したい。