東亞合成（4045）

接着剤（アロンアルフア）、光で固まる樹脂（光硬化型）、そして半導体洗浄などに使う高純度の無機薬品を持つ総合化学である。強みは、日用品から電子材料まで守備範囲が広いことと、品質一貫の体制。光で一瞬に硬化する樹脂は“早く・ムダなく”が売りで、工場の電力や時間の節約に効きやすい。半導体向けは不純物が少ないことが命であり、同社は異物を極力入れない作りに注力している。消費財で裾野を押さえつつ、高機能の電子材料に比重を移す構図。（豆知識）アロンアルフアはシアノアクリレート系接着剤。金属・樹脂・ゴムなど幅広い材質に使えるのが特徴。

最新の2025年12月期第3四半期累計は、売上高1198.63億円、営業利益106.07億円、経常利益111.49億円、親会社株主に帰属する四半期純利益80.02億円。数量が弱い分野もあるが、価格改定とコスト抑制で利益はおおむね維持の印象である。会社は通期予想を据え置き。セグメントでは、接着材料は分野で強弱が分かれ、高機能材料では半導体向けの相対強さが目立つ。投資益など一過性の寄与は縮小方向。中期は、工程を速く・確かにする電子材料や、省エネ・省工程に効く樹脂の伸長が焦点となろう。

株価は、前回決算後に形成した価格帯の上半分での滞留が続くかが焦点である。直近は高値切り下げと安値切り上げが交錯する持ち合いの最中。過去に何度も止められた節目価格を終値で明確に越え、出来高の増勢が2～3日続くなら、上値の重さが和らぐとみる。逆に、長い上ヒゲを伴う上放れ失敗は短期の利食い優勢を示唆。直近ギャップの窓上で2日維持できるか、あるいは窓埋め後に反発できるかが分岐である。中期では、過去1年の高値と安値の中間線より上での滞在時間が延びれば相対評価は改善しよう。一気の判断は避け、節目上抜け→出来高持続の順で条件確認を重ねたい。