ミヨシ油脂（4404）

私たちの食卓に欠かせないパンや菓子。その「おいしさ」の裏側で、圧倒的な存在感を放つ企業がある。それがミヨシ油脂（4404）である。同社は業務用マーガリンやショートニングなどで国内トップクラスのシェアを誇る、BtoB（企業間取引）の巨人だ。創業から100年を超える歴史の中で培われた技術は、食品だけでなく、界面活性剤などの化学製品（油化事業）にも応用されている。特に、環境に配慮した製品や、健康志向に対応したトランス脂肪酸低減製品などは、時代のニーズを捉えた強みと言えるだろう。普段、消費者の目に直接触れることは少ないが、日本の「食」と「産業」を根底から支える、まさに縁の下の力持ち的なビジネスモデルが魅力である。

2025年12月期第3四半期の決算は、投資家にとって驚きのある内容となった。売上高は製品価格の適正化が進み堅調に推移している。特筆すべきは親会社株主に帰属する四半期純利益で、91億5200万円と前年同期比で大幅な増益を記録した点である。これは固定資産売却益という一時的な要因が含まれるものの、企業としての資産効率化が進んでいる証拠とも取れるだろう。一方で、本社移転関連費用などで営業利益は一時的に圧迫されているが、これは将来への投資フェーズと見ることも可能だ。通期での配当予想も100円（年間）を見込んでおり、株主還元への積極的な姿勢は、投資初心者にとっても安心材料の一つになり得ると考えられる。

足元の株価は2328円近辺（12月15日時点）で推移しており、力強い上昇トレンドを描いている。日足チャートを見ると、上向きの25日移動平均線を支持線として下値を切り上げており、押し目買い意欲の強さがうかがえる。一目均衡表においても、株価は雲の上限を維持しており、三役好転の強い買いシグナルが継続している状態と見受けられる。ボリンジャーバンドでは＋1σと＋2σの間をバンドウォークする展開が続いており、過熱感を警戒しつつも、上値余地を探る展開が期待できよう。直近の高値圏での揉み合いを上抜ければ、さらなる一段高も視野に入ってくるチャート形状であると言える。