株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2016-11-23 09:00:00

元外資系金融マンのこぼれ話し

元外資系金融マンのこぼれ話 「トランプ政権下の2017年を占う」

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今週もお取り組みお疲れ様です。

本日は勤労感謝の日であることに加えて、明日は米国の感謝祭で市場は休場となります。

11/21配信のブルームバーグ記事で米大手投資銀行ゴールドマン・サックスのレポートが目に留まりましたので取り上げたいと思います。

主題は「ゴールドマンが選んだ2017年金融市場の10大テーマ」です。

専門的な内容も含まれていますが、気になる方は参考にしてみてください。URLはコチラ↓
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-20/OGTU8Q6S972B01

執筆したのはクレジットストラテジストのチャールズ・ヒンメルバーグ氏ということですから、株式市場にそのまま応用できるわけではありませんが米国債券市場のゆくえは気になるところです。

その見解によると来年は「高成長、高リスク、若干のリターン向上」が期待できるとのことです。

以下、本文抜粋を交えて考察していきます。
?リターンは少しだけ向上へ
 「世界の株式で有望性の改善が最も大きいのは日本を除くアジアで、プラス12.5%のリターンが見込まれる(16年見通しは3.8%)。一方、日本株についてはTOPIX3.7%下落を予想する(16年見通しは5.2%下落)。」
→日本株に対しては幾分弱気見通しとなっているようですが、日本の経済成長率やトランプ政権でのTPP参加や保護主義が前面に出てますので、景気敏感株には逆風が吹くと見ているのでしょう。

?米財政政策:成長押し上げ
 「トランプ次期米大統領が9日の勝利演説で保護貿易や移民制限よりもインフラ投資を焦点としたことをきっかけに、市場にリスクオンのセンチメントが広がった。」
→米経済成長に対する期待の高さが伺えます。世界的に低金利政策で低成長を余儀なくされてきた期間が続いたことで、財政政策へ舵を切ることを好感した市場の反応を代弁していると言ってよいでしょう。
米国が世界経済のけん引役となるのはオバマ大統領以前の共和党ブッシュ政権下でもみられた現象です。当時は円キャリートレードで米国に資金が還流する仕組みが作られ、最終的には米国は株高、資源高、住宅資産高など後のリーマンショックにつながるバブルが発生しましたが・・・。

?米貿易政策に関する懸念は行き過ぎていた公算大
 「貿易戦争による下振れリスクを取り上げがちなメディアの論調は行き過ぎと考えられ、懲罰的関税に関するトランプ氏の対応は実用的なものになるとみている。」
→市場に大きな影響を与えるメディアは、度々誇張して報道で実体と乖離する傾向にあり、大統領選挙においても反トランプ一色でした。トランプ大統領が就任しても、実務的な面からTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)やNAFTA(北米自由貿易協定)の仕組みを理解した上で強硬な保護主義、ブロック経済を推進することなど非現実的だと思われます。

?新興市場リスク:「トランプ・タントラム」は一時的
 米大統領選後に新興市場資産は米国債利回り上昇などを背景に急激に値下がりしたが、ゴールドマンはこれが向こう1年の重要なテーマになるとは考えず「過去において米国の高成長とともに米金利が上昇した時には常に、新興市場資産、特に株式とスプレッドの追い風となっていた」と指摘。
→タントラムとは「マーケットが癇癪(かんしゃく)を起こすこと」とされていますが、大統領選挙後の新興国市場は総くずれの様相となっています。ここでのスプレッドとは米国債と新興国の債券利回りの差と思われますが、現在は米国債利回りの上昇によって米国債を買う動きと高金利の新興国債を売る動きが同時発生して、逆説的にスプレッドが拡大する傾向にあります。底打ち後の高金利通貨などには投資妙味が復活するとゴールドマンは見ているのでしょう。

?トランプ氏と貿易:人民元に関してヘッジを
 トランプ氏は中国を為替操作国と非難していることもあり、人民元安へのヘッジは「中国リスク」とトランプ氏見解をふまえたもので有効としている。
→中国の為替は昨年のチャイナショック以降、ある程度コントロールが効くようになっています。中国は世界で一番米国債を保有しており、ドル高元安が国益につながるとの見方が警戒感を強めているものと思われますが、その一方で対外的な投資を拡大させている背景からも一概に元安誘導しているわけではありませんが、ヘッジはしておきましょうということかもしれません。

?金融政策:信用創造に向けた措置に集中
 日銀がこの度導入した長短金利操作について、金融仲介機能の重視と「融資のための資金調達スキーム」のような措置への政策移行は、投資を中心とした実体経済における活動に最も大きなインパクトを与える点で新たな試みと指摘。
→以前の異次元緩和のような金融政策に頼りきった政策よりも、健全な実態経済の運営のために今回の措置は効果的かどうかを世界の金融マンの視線が注がれているのが日銀の施策と言えるでしょう。今回のドル高トレンドについても、米国金利が上昇する中で日銀が金利上昇を抑える指値オペを導入したことも後押し材料として機能しました。

?企業収入の伸びの鈍さに変化の兆し
 S&P500種株価指数構成企業の「売上高リセッション」から米企業が脱したことが17年に確認できるとゴールドマンは予想。世界経済が底堅さを増し原油価格が今年2月の安値から回復したことで、増収率見通しが改善したという。
→企業業績を分析する時に企業利益は株主の利益の源泉ですから重要ではあるのですが、持続的な株価上昇を期待する投資家にとっては企業の成長を見る上で売上高の伸び率も非常に重要です。なぜなら利益はコスト削減やのれん計上などで一時的にお化粧できてしまうからです。米国企業の売上高に底打ちの兆しが出ていることは強いアメリカを象徴することになり、トランプ政策の議会承認などでも後押し材料となるでしょう。

?インフレ率:先進市場全般で上昇
 トランプ氏はインフレを高進させる大統領になるとの見方から、市場のインフレ期待を示す指標は急上昇した。減税、インフラ投資、国防支出が経済政策の目玉として挙がっている状況は「リフレへの処方箋」だとゴールドマンのチームは指摘。米国だけでなく日本と中国、欧州も公共投資を増やし、これらの国・地域でインフレ圧力が高まると予想している。
→デフレ先進国の日本においてもトランプマジックに触発されてインフレ率が高まるのかに注目されますが、目下、世界で共有されてきている金融政策から財政政策で協調する姿勢の歯車が噛み合えば日本の経済成長率2.0%達成も見えてくるかもしれません。株式市場にとっては追い風ですので、実現してほしいと思います。

?クレジットサイクルは穏やか
 クレジット市場の中で商品相場に影響を受ける部分は16年に痛手を受けたが、他の分野に広がることはあまりなかった。ゴールドマンは17年もほぼ状況と予想し、クレジットサイクルが悪化に転じるとはみていない。
→クレジット市場の動向は専門外なためによく分かりません。(泣)

?「イエレン・コール」に「偶発的ノックイン」加わる
 トランプ次期米大統領が大規模な財政刺激を約束したことで、17年はイエレンFRB議長が景気拡大に伴い利上げに傾斜する「イエレン・コール」に「偶発的なノックイン」が加わると指摘。
→ゴールドマンの同氏の指摘するところは、米FRBが利上げを示唆してドル高のインセンティブが働いているところに、トランプ氏の財政支出拡大の思惑から米国債の資金が株式に流れて金利が上昇する要因が重なったためと解説。FOMCは財政刺激の規模によっては(引き締め方向へ)利上げを積極化させると考えられるものの、今後1年の間で金融環境が激変することはないとの見方を示しています。
他にもトランプ氏が唱える本国投資法などが具現されてくると実需の面からもドル高圧力は強まり、利上げペースが拡大する可能性もあると考えられます。

上記のように、今の資本市場を代表するストラテジストの表現の中には少し小難しい表現が多いですが、米国金融機関の考え方は押さえておく必要があります。

今回の記事ではふれられていませんが、米国ではトランプ氏が現在の金融規制法を撤廃する方針を掲げていたり、金融の専門家チームにはウォール街でかつて荒稼ぎしていた面々が採用されることも市場の話題になっています。

依然として、日本市場は外国人投資家の比率が高く、今回の日経平均18000円回復の買い主体は外国人投資家と考えられ、投機筋・実需筋両方の面から日本株の買いに回る可能性が出てきています。

その一方で、売りに回っているのが国内の個人投資家という現状も押さえておきましょう。もし、この市場環境でお持ちの銘柄が上がらないと嘆いている方にとっては上値を遮っているのは近所の日本人投資家かもしれません。

目先の値動きで一喜一憂したり、慌てふためく投資はストレスがたまるだけでなく、将来のリターンの側面から見てもマイナス面しかありません。

値動きの良さにつられてイグニス(3689)やエンシュウ(6218)に飛びついた人はいませんか?モブキャスト(3664)なども個人的には好きな銘柄ですが、安値から仕込んでないと大ケガを誘発する銘柄たちです。掲示板などでの個人投資家の煽りには気をつけましょう。(笑)

いま一度保有する銘柄については、今後も自分の買値より上の値段で買ってくれる外国人投資家や個人投資家が本当にいるのか?と材料や業績を見直しておく必要がありますね。

投資している根拠が明確であれば、目先で株価が上下しようとも判断材料に困ることはありません。ただ、自分の見通しが合っているのか間違っていたのかの判断をするだけです。

日本の投資家が迷うことなく投資に前向きに取り組んでいくだけの環境は整ってきましたので、買いでも売りでも自信をもって投資を行ってほしいと思います。

もしもの迷いが生じた時こそ、あすなろの出番です。

今週は代表の大石が【究極黄金社長銘柄】をご用意させていただいておりますし、儲かるのかな?損するのかな?で投資するのではなく、確かな自信をもちながら取り組んでいただければ隣の銘柄に目移りすることもなくなると思います。

日本の投資家にとって足りないのは自信だと思っています。
小さな勝ちでも何回も積み上げていくと自ずと勝ちグセがつくと思います。まずはしっかりと保有株を見直すことから始めていきましょう。それが2017年の投資成績に大きく関わってくると思います。


【 相 場 の 格 言 】
『相場は今ある姿より方向性を重視する』


それでは、また会員様の喜びの声が聞けることを楽しみにしています。


執筆:加藤あきら

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