加藤の相場展望<保存版>
4月に入り新年度に対する市場の期待が大きかったことを尻目に、
全体相場は大きく様変わりしてしまいました。
これまで上昇が鮮明だった中小型株を中心に利益確定売りが相次ぎ、
急落に巻き込まれた投資家の見切り売りが地合い悪化につながっています。
新興市場の銘柄や直近で急騰していた銘柄は売られやすく、さらには
信用需給が悪いものにも注意が必要です。
ここからは信用取引を利用されている方は維持率に注意をはらってください。
特に本日のマザーズ指数が年初来安値を更新したことなどは追証の回避売りや、
強制ロスカットなどがストップロスとして機能してくる可能性がございます。
まさに「売りが売りを呼ぶ」展開となり、昨年のブレグジットショック時のような
セリングクライマックスの様相を呈する場合が考えられます。
一方で、この瞬間はまさに『天与の買い場』となる可能性を持ち合わせており、
【資産家は恐慌時に生まれる】という格言もある程です。
特に投資額をめいっぱいまで使っている方におかれましては、ポジションを縮小して
手元資金を確保し、下げ止まった後のリバウンドを狙っていくようにしましょう。
【相場の転換点】
現在の東京市場は外部要因の悪化に対し過剰なまでに反応しており、世界全体を見渡しても異常な恐怖感が市場を包んでいます。メディアでは、下落要因を様々に分析されておりますが大きな要因は?需給と?外部要因の2つだけです。
?機関投資家、海外投資家によるポジションの入れ替え
期末、期初には大口の年金やファンドを運用する機関投資家にはポートフォリオを入れ替えなくてはいけない事情があります。日本株に対する期待やリスクを測る前にグローバル規模での投資先選定をしなければなりません。現在は日本株に対し売りが優勢となっておりますが、その裏では買い越されているセクターもありエクスポージャーが落ちているわけではありません。
?米トランプ政権に対する期待感の剥がれ落ち
トランポノミクスと呼ばれる米国経済の復活期待が先行し、金融規制緩和を期待された金融株、大型のインフラ投資を期待された資本財、税制改革を期待したNYダウの最高値更新などで市場の盛り上がりは最高潮に達していました。
しかしながら、3月に入りトランプ大統領が選挙戦の時から掲げていた「オバマケアの撤廃」を撤回する決断を下したことを皮切りに、共和党との不協和音を嫌気した市場は『トランプ政権の実行力』を疑問視した軟調地合いが継続しています。
上記2つの大きな要因の下で、昨晩はFOMC議事要旨が公表され、バランスシート縮小にふれられたことがリスクオフの決定打となりました。
これまでFRBは金融危機を受けて金利水準を低く抑えて雇用や経済成長をや押し上げる目的で、債券や証券を大規模に購入していました。これを利上げが進んでいく段階で縮小していく金融引き締めに舵を切るのではという見方がリスクオフに傾いた要因です。
議事要旨には「経済が想定通りに推移するとの前提に立って、大半の参加者はフェデラルファンド金利の緩やかな上昇が続くと見込んでおり、FOMCの再投資に関する政策の変更は年内にも適切になると判断した」との表現が見られました。
発表前にはNYダウが200ドル近く上昇していた米国株式市場では利益確定売りが出やすく、政治的見地からも不透明感が強いためリスクオフへ傾きやすかったものと思われます。
それらに加えて、本日の下落が大きくなっているのは、個人投資家による信用評価損益率の悪化からもたらされているものと考えられます。これまでも最近の円高進行や米国市場の軟調をうけて低調な推移を続けてきた日本株は、3月の新興市場ショックで需給悪化が表面化し、併せて、米中首脳会談が行われている中で北朝鮮からのミサイル発射が日本市場の地政学リスクを高め相場を冷やしている状況にあります。
材料難で手掛けにくい中、日経平均やマザーズ、JASDAQなどの主要指数は循環物色によって値を保ってきたことが表すように、2017年の日本株はこれまで押し目らしい押し目がないまま上昇を続けていたという点を忘れてはいけません。
現在の為替水準は年初からドル円が8円近く円高に振れているにもかかわらず、調整局面に入ってきたことは『新たな投資材料が生まれるきっかけ』になると言えます。
今回の下落相場が下値を確認した後には、現在売り込まれている銘柄には割安感が生まれて主力株や有望株には大口のバリュー投資家や機関投資家の買いが向かいやすくなります。何といっても今の時期は期末の決算売りを通過して、新たに2017年度の資産運用を考えている大小さまざまなファンド資金がパフォーマンスを求めて資金投入のタイミングを計っている状況に疑いはありません。
期末・期初の売りで現金化されたキャッシュポジションは絶好の投資タイミングを探っているところで、地政学リスクの高まりや政治の不透明感を引き合いに投げ売りにあった有望株に照準を絞っているに違いありません。
メディアで取り上げられているような朝鮮半島問題に対しても米中で戦略・対処に違いは見られるかもしれませんが、子供のケンカではありませんので、すぐに戦争が始まるわけではありません。米国では3月の予算教書で国防費増額を要望していますが、地ならし無く動くことはできません。
ここまでは材料難をいいことに、資金を持て余していた大口の短期資金が回転を利かせるために、狙いを絞った銘柄にまとまった成行買いを入れ、市場の注目を集めて個人投資家に対する呼び水にして、出来高が膨らんだ個人の買いに売りをぶつけていくというような日替わり銘柄が投資掲示板などに羅列されておりました。
それらを頼りに損失を渡された個人投資家の狼狽売りが現在の短期急落を作りあげたと言っても過言ではありません。
しかしここからは、市場のメインプレーヤーが入れ替わり売買に厚みが出始めます。先ほど挙げた2つの要因は日柄の経過とともに解決へと向かいます。現在は売りが優勢な相場と言い聞かせ、攻守交替のタイミングを探る時期です。くれぐれも掲示板にあるような煽り銘柄で取り返そうと考えてはなりません。
現状は無理をせずに、信用取引をされている方などは「資金確保」を最重要戦略としてまずは信用ポジションの維持を見直しておく必要があります。米中首脳会談や仏大統領選挙など重要イベント前はポジションを落として、相場を見極めた上で買い出動されても遅くはありません。
まずは周囲に引きずられて狼狽売りをしないこと、すぐに取り返そうとしないこと、投資金の配分・管理に細心の注意をはらって市場と向き合ってまいりましょう。
あすなろ投資顧問ではただいま【銘柄相談フェスタSP】として、ご相談を広く募集しております。現在も殺到している状況ではございますが、このような市場の急変でお困りの投資家の方が非常に多くいらっしゃることと思います。
ストレスを抱えたまま相場と向かい合うのは冷静な判断を欠き、指摘させていただいたような狼狽売りをしてしまいかねません。まずは大局を見つめ直し、今回の下がったところを見計らって『天与の買い場』を活かしていきましょう。このヤマ場を乗り切った者にだけ“ビッグ・ディール”のチャンスが与えられるに違いありません。
【 相 場 の 格 言 】
『陰の極に買いの機あり』
それでは、また会員様の喜びの声が聞けることを楽しみにしています。
執筆:加藤あきら
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