容赦ない利益確定売りが上値を抑える日本株
イベント前の相場全体が動きづらい中で異彩を放つのが低位株の循環物色ですね。
今日もエンシュウ(6218)や大黒屋HD(6993)、エス・サイエンス(5721)などS高交じりで大賑わいの様相です。
ただし、最近まで上昇していた銘柄には容赦ない利益確定売りが浴びせられるので警戒しながら取り組んでまいりましょう。
まるで大口資金の遊び場にでもなっているかのようですが、今晩のFOMC後は相場の潮目が変わったり、方向性が出たりするかもしれませんので、頭を切り替えて臨む必要がありそうですね。
気になる内容は明日になればわかることですが、最近やたらと話題になるのは各業界で再編機運が高まっていることです。
中でもインターネットの普及拡大でさらにレッドオーシャンになっている広告業界は注目でしょうか。
お馴染みの電通(4324)、博報堂(2433)、ADK(9747)はさておき、ネット広告の分野でも主要4社はサイバーエージェント(4751)、オプトHD(2389)、セプテーニHD(4293)、アイレップ(2016年上場廃止)に絞られてきたようです。
きっかけとなったのは資本・業務提携やM&Aです。特にネット広告業界は再編が進行中です。
売上高の観点でいうと、サイバーエージェントが3,000億円を超える規模で独走し、オプト、セプテーニ、アイレップが数百億円規模でそれに追従するという構図になっています。
既存の広告業界大手との提携という観点では、電通と提携関係にあったものの、今では提携解消となったオプト。博報堂との資本・業務提携から、やがてグループ傘下に入ったアイレップが特徴的です。
また、サイバーエージェントは、他業界大手との提携やアメブロその他強力な自社メディアで業界をリードしているということができます。
その中で注目なのは、オプトでしょうか。
昨年は800円台で推移したオプトの株価は、2017年に入って急騰、直近のところで1645円の高値をつけて倍増しています。今期の第1四半期の売上高が初の200億円を突破するなど好調な業績を背景としたものといえますが、それだけでなく、2月に電通との資本・業務提携を解消したことが好感されたことも大きいと考えられます。
オプトと電通が資本・業務提携をした2005年末から約11年。
電通は保有していた全株式(議決権割合18.87%)をオプトや関連するファンドなどに譲渡しています。公表された提携解消の理由は「すでに一定の成果を見た」とのこと。
以降、オプトの電通向け売上の割合は減少傾向にあるようですが、両社の対極的な株価推移をみると軍配はオプトに挙がったと言えるかもしれません。
もう一つ、注目なのはセプテーニでしょうか。
2009年にソフトクリエイトHD(3371)との資本・業務提携を解消してからは、スマホ向けに広告プラットフォームを構築するメタップス(6172)と業務提携しており、その一方でDM発送を行う子会社である株式会社セプテーニ・ダイレクトマーケティングの全株式を約15.2億円で地図情報サービス大手の株式会社ゼンリンに譲渡しています。
さらにこの「選択と集中」の戦略を推し進め、2016年10月にはシンガポール子会社であるSepteni Asia Pacific Pte. Ltd.を通じて、Lion Digital Global LTD(香港)の株式96.01%を13億円で取得し、子会社化しています。これは、スマホ広告やソーシャルメディア広告を得意とするLion社を買収することにより、アジアにおける同分野でのプレゼンスを高める狙いがあると言えます。
さらにその翌月の11月には、モバイルゲーム事業を主力とするアクセルマーク(3624)の株式を一部譲渡し、持分法適用会社としました。これによって、セプテーニの中でモバイルゲーム事業が「ノンコア事業」であることが明確になり、本業のネット広告事業に注力していくことが鮮明となっています。
株価のゆくえを占ううえで個別企業の分析やニュースだけを追ってもつかめないのがこうした業界全体の流れですよね。
今晩のFOMCに市場サプライズがあるのか気になるところではありますが、いろいろな流れをつかむ感覚を養っておきたいですね。
【 相 場 の 格 言 】
『年中商いの手の中にある時は利運遅し、折々手仕舞いして休む事肝要なり』
それでは、明日に希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆:加藤あきら
無料新着記事
-
アスナ紹介のパワーファス(5950)が飛躍!+61.63%UP!
あすなろレポート〈夜版〉
(2024/11/25 17:00)
-
ゼンリン(9474)は買えない!?
億男W直伝 勝利トレード攻略法
(2024/11/25 17:00)
-
「Not him but him!」
アナリスト木村の銘柄研究部
(2024/11/25 16:30)
-
チャイナマネー期待の銘柄など
後場の注目株
(2024/11/25 11:30)
-
[3銘柄アリ]なぜこれから年末ラリーが期待できるのか?
株ドクターマサトの投資家診療所
(2024/11/25 11:15)