株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

(一社) 人工知能学会:18801(公社)日本証券アナリスト協会:01159

あすなろ投資顧問

2017-07-09 15:00:00

米株くらぶ

医療制度改革で注目されるヘルスケア株

 6月最後の週の米国株式市場は、ダウ工業株30種平均がハイテク株の調整による下げを受けて反落する場面もあった。
 
しかし27日の欧州中銀のドラギ総裁による金融緩和の出口戦略向けを示唆する発言や、28日に発表された米連邦準備理事会(FRB)による大手銀行に対するストレステスト(配当政策など資本計画について危機時に十分な資本を確保できるかを審査)合格のニュースを受けて金融株が買われたことなどから30日には反発して引けた。
 
一方でハイテク株の比率の多いナスダック総合指数は調整が続いている。

 市場では、月央に発表されたFRBによる年内の追加利上げや資産圧縮など金融引き締めに向けた計画が、足元で発表される実際の経済指標の改善傾向と大きくかい離することがないよう目配りしている。

 7月3日に発表された米サプライマネジメント協会(ISM)による6月の製造業景況感指数(企業の購買担当者へのヒアリングを元に算出。50を上回ると景況感が改善したとされる。)は57.8と、事前予想平均の55.0、5月の54.9大きく上回り、米景気に強気な見方が広がった。

6月末は上半期の期末に当たり、機関投資家が含み益を確定させる売り注文がかさむという季節的な事情がある。しかし株式に代わる投資先は見当たらないとされ、景気拡大に伴う企業業績拡大に基づいた当面の株式相場の上昇基調に変わりはないと思われる。

7月7日(金)発表予定の雇用統計が注目される(記事作成は7月6日時点。)

 トランプ政権発足後、税制改革、エネルギー政策などの進捗が注視されている。医療制度改革について6月27日、上院共和党指導部がオバマケア代替法案であるトランプケア(アメリカン・ヘルスケア・アクト)の採決の先送りを発表し、ヘルスケア関連株が下落した。

しかし、医療制度改革は、オバマ政権から続く重要な課題であり、何等かの形で実行されることに変わりないとみられる。米国には日本のような国民皆保険制度がなく、各個人が民間の健康保険に加入する仕組みである。

堅調に業容を拡大しているヘルスケア関連銘柄の今回の下げは押し目となろう。

今回あすなろでは、トランプケア関連として以下、大小のヘルスケア2銘柄を紹介したい。

1.ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)[NYSE]



ミネソタに本拠を置く米医療保険会社大手。
企業、公共機関、個人に各種医療保険プランを提供するほか、疾病、健康、薬剤に関する情報や医療貯蓄口座、移動医療サービスなどの各種サービスを提供。
また、医療関連の情報管理サービス、ソフトウエア開発、コンサルティングおよびアウトソーシングサービスも手掛ける。


資産137,157百万ドル(17/3期末時点)、年間売上高184,840百万ドル、純利益7,017百万ドル(16/12月通期)。
17/3四半期決算は、売上高48,723百万ドル(前年同期比+9.4%)純利益2,172百万ドル(同+34.8%)、一株当たり純利益EPSは、基本2.28ドル、希薄化後2.23ドル。

株価は186.94ドル、(前日比-0.70% )(現地7/6引け)。株価の位置は13週、26週移動平均を上回って推移中。保険会社の優であり景気回復に伴い、順調に保険収入を増やしている。

2.ヘルス・エクイティ(HQY)[NASDAQ]



ユタ州に本拠を置く医療貯蓄口座運営会社。
医療保険プラン加入者向けにクラウドベースの医療貯蓄口座、医療費払戻口座、フレキシブル支出口座、健康維持奨励口座などのITサービスを提供。また、希望する口座加入者に投資信託の投資アドバイスも行う。2014年IPO。

年間売上高178百万ドル、資産279百万ドル(17/1月通期)。17年4月四半期の売上高55,421千ドル(+25.9%)、純利益14,029千ドル(+73.8%)、一株当たり純利益EPSは、基本0.23ドル、希薄化後0.23ドル。

株価は48.30ドル、(前日比-3.86%)(現地7/6引け)。株価の位置は、足元で13週、26週移動平均を上回って推移。同社が提供する保険貯蓄口座への加入者は17年1月時点で275万人。
年間2ケタ増収率で加入者を増やしていて、65歳以下の全米保険加入者の3分の1にあたる8,700万人を目標としている。業容の拡大は始まったばかりといえよう。

<米国株豆知識 その2>
雇用統計とは?
米労働省労働統計局が毎月、第1金曜の朝8時半に発表する統計。景気の動向を端的に表して注目度が高い。事前の市場予想平均に比べて実際がどうなったかで、当日の相場に影響を与える。
注目される主な項目は以下2つ:?失業率:失業者を労働力人口(失業者と就業者の合計)で割った数字(調査対象は約6万世帯)。?非農業部門雇用者数の変化:自営業を含まない非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿を基に集計。
調査対象は全米の約3分の1に当たり、10万人を超えれば現状維持、20万人を超えると経済が成長していると解釈される。
他に、時間あたり平均賃金、週労働時間なども発表される。因みに最近では景気が回復している割に時間当たりの平均賃金の伸びがそれほどでもないとされ、理由としてITの活用など人手に頼らない雇用形態の拡大を指摘する声もある。


執筆:パパジアン裕子


<著者略歴>
1983年上智大学外国語学部卒業後、外資系銀行、証券会社等にて勤務。モルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券在籍時は債券部に所属。その後渡米、1994年にニューヨーク大学でMBA(金融専攻)取得。みすほFGの米国拠点やみずほキャピタルマーケッツに勤務。2003年に帰国後は、主にみずほ証券投資情報部におけるヴァイス・プレジデントの任に就き60社を超える欧米企業を担当、グローバルアナリストとして数々のファイナンスレポートを執筆。鮮度の高い現地情報と知識に裏付けされた明快な市場分析には定評があり、常に投資家の視点を持ちながらベストパフォーマンスを追求。

無料新着記事

記事一覧へ

今ご登録で特典5銘柄+大石銘柄+5000ptをプレゼント!

今すぐ無料登録 クリック