株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2017-07-16 15:00:00

米株くらぶ

シェール関連の復活あるか?

7月の米国株式市場は、第一週に発表されたISM製造業景況感指数、ISM非製造業景況感指数、雇用統計などの経済指標が強含んだことから、景気が強く回復しているとの見方に変わりなしとし、ダウ工業株30種平均は堅調に推移。ハイテク株の比率の多いナスダック総合指数も高値からの調整をこなして高水準にある。
 
一方、債券相場では、欧州中央銀行等による金融引き締め示唆の発言がきっかけとなって6月末から欧米の長期金利の上昇が続いている。世界金融市場の潮目が金融緩和から引き締めへと変わったとの見方が一般的になってきた。長期金利上昇は日本にも波及したが、日銀は国債の買い入れオペなどを通じて抑制策を実施した結果、金利差が拡大。足元でドルやユーロに対しての円安を招いている。

6月に低位で推移していた米国の10年債利回りだが、景気指標の改善を受けて7月初めからは上昇基調に振れている。ただし、金利上昇がただちに株式相場に冷水になるわけでなく、FRBによる年内の追加利上げや資産圧縮など景気動向を見極めつつ金融引き締めに向けた舵取りの方向性に市場の関心が集まっている。
12日のイエレンFRB議長による議会証言では、「物価動向を見極めながらもFRBの資産縮小は早めに、利上げには慎重に臨む」との姿勢が明らかにされた。10日の週には、生産者・消費者物価指数、小売り売上高、鉱工業生産などの経済指標の発表がある。また、4-6月期の決算発表も始まり、14日のJPモルガン・チェースやシティグループなど金融株の動向が注目される。

 あすなろでは従来通り、景気回復に伴う企業業績拡大に基づいた当面の株式相場の上昇基調に変わりはないとみている。(記事作成は7月13日時点)。
 
 米国株のセクター別では、原油価格安からエネルギー関連株が低位にとどまっている。一方で米国のLNG(液化天然ガス)の輸出量が16年に年間の過去最高を記録し、1-4月にも増えているなど過去に下火になったシェールガス関連銘柄が再び注目されている。米国第一を掲げるトランプ政権は米国内での雇用増につながるLNGの輸出を積極的に後押しする姿勢を見せており、シェール関連株の復活が期待される。

今回あすなろでは、シェール関連として以下2銘柄(非公開を含む)を紹介したい。

1.シェニエール・エナジー(LNG)[NYSE MKT LLC] (非公開銘柄)

シェニエール・エナジー(Cheniere Energy, Inc.)はエネルギー関連会社。液化天然ガス(LNG)関連事業に注力する。LNG受入基地およびパイプラインを保有・運営。米国ルイジアナ州とテキサス州でプロジェクトを展開。

17/3期末時点の資産26,056百万ドル、株主資本は赤字1,336百万ドル。17/3四半期決算は、売上高1,211百万ドル(前年同期比17.6倍)、営業損益376百万ドル(前年同期の▲91百万ドルから黒字化)、純損益54百万ドル(前年同期の▲321百万ドルから黒字化)、一株当たり純利益EPSは、基本0.23ドル、希薄化後0.23ドル。

株価は48.05ドル、(前日比+1.14%)(現地7/12引け)。米国のLNG輸出増から恩恵を受けうる。

2.チェサピーク・エナジー(CHK)[NYSE]



チェサピーク・エナジー(Chesapeake Energy Corporation)は石油・天然ガス生産会社。オクラホマに本拠を置き、天然ガスの在来型・(従来のガス田と異なる)非在来型オンショア埋蔵地の探査・開発・取得を米国で手掛ける。

17/3四半期末時点の資産11,699百万ドル、株主資本は赤字1,459百万ドル。17/3四半期決算は、売上高2,753百万ドル(前年同期比+41.0%)、営業損益241百万ドル(前年同期の▲1,099百万ドルから黒字化)、純損益75百万ドル(前年同期の▲1,111百万ドルから黒字化)、一株当たり純利益EPSは、基本0.08ドル、希薄化後0.08ドル。

株価は4.78ドル、(前日比+2.36% )(現地7/13引け)。シェールガスブームの去った2012年に大打撃を受けるも、新経営陣の元で事業規模の適正化画策中。17/3期は営業利益、純利益ともに前年同期から黒字化。シェール業界の草分けであり、世界的に投資が底入れした今、復活の可能性大。


<米国株豆知識 その3>
シェールガスとは?
地下数百〜数千メートルの頁岩(けつがん)層(シェール層)に含まれているガス。主成分はメタンで、LNG(液化天然ガス)と変わらないが、従来のガス田とは異なる場所にあるため、「非在来型天然ガス」と呼ばれる。低コストの開発技術が確立され、瞬く間に開発が北米に広がった。
回収可能量は世界で208兆立方メートルとも言われ、単純にLNG(液化天然ガス)に換算すれば1,664億トン。日本の年間輸入量の2000年分に相当する。世界のシェールガスの約4割は米国にあるとされ、米国は16年からシェニエールの輸出基地から輸出を開始している。


執筆:パパジアン裕子


<著者略歴>
1983年上智大学外国語学部卒業後、外資系銀行、証券会社等にて勤務。モルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券在籍時は債券部に所属。その後渡米、1994年にニューヨーク大学でMBA(金融専攻)取得。みすほFGの米国拠点やみずほキャピタルマーケッツに勤務。2003年に帰国後は、主にみずほ証券投資情報部におけるヴァイス・プレジデントの任に就き60社を超える欧米企業を担当、グローバルアナリストとして数々のファイナンスレポートを執筆。鮮度の高い現地情報と知識に裏付けされた明快な市場分析には定評があり、常に投資家の視点を持ちながらベストパフォーマンスを追求。

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