株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2017-07-23 15:00:00

米株くらぶ

4〜6月期決算発表は出足好調

7月半ばの米国株式市場は、NYダウが過去最高値を更新し上昇基調を取り戻している。これは景気回復から金融引き締めが本格化するとの見方が薄れたことが背景にある。具体的には、10日の週に発表された6月の小売売上高が前月比で減少したことや、消費者物価指数(CPI)の伸びが横ばいであったことを受けてのことだが、米国の個人消費はGDPの7割を占め、経済指標のなかでも重要視されている米国特有の事情によるものだ。

市場の動向では高値から売り込まれていたハイテクのフェイスブック、アマゾン・ドットコム、ネットフリックス、グーグルの頭文字を採った「FANG」にも買戻しが入った。ハイテク株の比率の多いナスダックも堅調だ。

 市場はこれから本格化する四半期の企業決算の動向に注目している。14日発表のJPモルガン・チェースやシティグループなどの金融株は、一株利益(EPS)が事前市場予想を上回って買われた。長期金利の上昇により、貸出金利と調達の金利差(利ざや)拡大したことが増益に反映された格好だ。

米調査会社によると、米国主要500社の4〜6月期は前年同期比で7%増益を見込んでいる。あすなろでは、好調な決算発表から業績拡大が確認されることで株高が続くことを予想している。

今回は、相場全体の地合いが良いことから、業容拡大中で決算をはさんで動意のありそうなハイテク銘柄のうち2銘柄を紹介する。日本市場でも次の企業決算が意識される地合いが整ってきていることから、日本株の取り組みにおいても投資のヒントになり得よう。

1.アクティビジョン・ブリザード(ATVI)[NASDAQ]



アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard, Inc.)は、カリフォルニア州サンタモニカに本社のある米国のゲームソフト会社。オンライン、コンピュータ、モバイル、タブレット向けのゲームソフトの開発・配信・販売に従事。
マイクロソフト、ソニー、任天堂などにゲームソフトを提供(日本向け売上は全体の1割以下)。16年2月に「キャンディ・クラッシュ」を手掛けるキング社の買収が奏功して業容拡大中。
17年第1四半期(1〜3月)末時点の資産16,921百万ドル、株主資本は9,436百万ドル。同四半期決算は、売上高1,726百万ドル(前年同期比+18.6%)、純利益426百万ドル(同+17.4%)、一株利益(EPS)は、基本0.57ドル、希薄化後0.56ドル、一株当たり配当は0.30ドル。
株価は61.08ドル、(前日比▲0.41%)(現地7/20引け)。今年2月に16年第4四半期の好決算発表を受けて大きく買われたあと、13、26週移動平均を上回って上昇基調にある。
8月3日に第2四半期(4〜6月)の決算発表予定。第1四半期に売上の6割以上を占めたデジタル部門の伸びがカギ。

2.ヴィーバ・システムズ(VEEV)[NYSE]



ヴィーバ・システムズ(Veeva Systems, Inc.)は、サンフランシスコに拠点を置き、主な製薬・バイオ会社向けにクラウドベースのソフトウェアソリューションを提供する。製品には、営業担当者の顧客関係を管理する「Veeva CRM」、文書管理の「Veeva Vault」、医療提供者と組織のデータ管理の「Veeva Network」などがある。世界中に525社以上の顧客を持つ。
17年第1四半期(2〜4月)末時点の資産996百万ドル、株主資本は709百万ドル。同四半期決算は、売上高158 百万ドル(前年同期比+31.9%)、純利益36百万ドル(同2.9倍)、一株利益(EPS)は、基本0.26ドル、希薄化後0.24ドル。
株価は63.29ドル、(前日比▲0.71% )(現地7/20引け)。米企業の多くはデータセンターへのクラウド導入を進めており、この分野は年20〜30%で成長しているという。
同社は業界成長から恩恵を受ける先の一つ。(17年第2四半期(5〜7月)の決算発表の予定は未確定だが、8月末が見込まれる)。


<米国株豆知識 その4>
決算発表と株価の動き
米企業の株価は、年に4回、四半期ごとに発表される決算を受けて大きく動くことが多い。決算後に買われるポイントは2つ。

1.売上高とEPSが事前市場予想を上回って、前年同期比で増収、増益を達成したか。
2.次の四半期、および通期の見通し(ガイダンス)を引き上げたか。

これらを満たすと"Beats and raised "と表現され、おおむね買いが入る。動画配信のネットフリックスは、17日引け後に発表した4〜6月期決算で利用者数の増加が市場予想を上回り、13%上昇した。ただし、相場全体の地合いも影響して株価は振れることが多く、決算狙いの買いにはリスクが伴うことを知っておきたい。


執筆:パパジアン裕子


<著者略歴>
1983年上智大学外国語学部卒業後、外資系銀行、証券会社等にて勤務。モルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券在籍時は債券部に所属。その後渡米、1994年にニューヨーク大学でMBA(金融専攻)取得。みすほFGの米国拠点やみずほキャピタルマーケッツに勤務。2003年に帰国後は、主にみずほ証券投資情報部におけるヴァイス・プレジデントの任に就き60社を超える欧米企業を担当、グローバルアナリストとして数々のファイナンスレポートを執筆。鮮度の高い現地情報と知識に裏付けされた明快な市場分析には定評があり、常に投資家の視点を持ちながらベストパフォーマンスを追求。

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