株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2017-08-06 15:00:00

米株くらぶ

決算シーズンはヤマ場

8月に入った米国株式市場は、7月最終週に発表されたボーイング(BA)、通信大手のAT&T(T)、ベライゾン(VZ)、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(PG)など大型企業の4-6月期の好決算を好感してNYダウが過去最高値を更新した地合いを受け、高値圏で推移している。NYダウは2日に節目となる2万2000ドルを突破した。

ハイテクも強い。7月26日のフェイスブック(FB)の決算発表では売上高が前年同期比45%増、純利益71%増と四半期ベースで過去最高を更新し、事前市場予想を上回ったことで株価は上場来高値を上回った。携帯端末向け広告の比率が広告収入の9割近くを占めたほか、写真共有アプリ「インスタグラム」の広告収入も拡大したことで買い安心感が広がった。

アマゾン・ドットコム(AMZN)は27日発表の決算で25%増収の一方、77%減益となった。配送センターの増設やコンテンツ開発にかかる費用が増加し、営業利益率は前年同期の4.2%から1.7%に低下した。7月半ばから1,000ドル台で推移していた株価は一旦調整中。ただ、事業拡大のための先行投資を重視する経営姿勢はいつもの通りであるとし、押し目買いの好機とみる向きもある。同社のクラウド事業は売上高の1割だが営業利益が3割増と新規事業のけん引役として注目された。高級生鮮スーパーのホールフーズマーケットの買収も予定されており、あたかもすべてを飲み込んで流れるアマゾン川のように業容拡大のペースには際限がないようだ。

8月1日引け後発表のアップルのQ3決算は、一株利益が18%増の1.67ドル、売上高が7%増の454億ドル、アイフォンの売上が4,100万台と市場予想を上回り、株価は時間外で上昇。また、同社と取引のある日本企業が多いため、2日の日経平均株価の上昇にも一役買った。

あすなろでは、景気拡大を受けた好調な決算発表と業容拡大見通しを受け、株高が続くと予想している。先週に引き続き、足元で好調な決算を発表し、業容拡大が期待できるハイテク2銘柄を紹介したい。
 
1.テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア(TTWO)[NASDAQ]



テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア(Take-Two Interactive Software, Inc.)はゲームソフトウエアを開発、制作、販売。「プレイステーション」、「Xbox 360」、「XboxOne」、「Wii」やPC、スマホ向けにソフトウエアを提供。米国のほか、日本、中国、韓国、欧州、カナダで事業を展開する。

 株価は79.39ドル、(前日比-0.7%)(現地8/2引け)。8/2引け後発表の4-6月決算発表では純利益が60.3百万ドルと前年同期の赤字38.6百万ドルから黒字転換。一株利益が0.56ドルと前年同期の赤字0.46ドルから大幅に改善した。売上高は前年同期比34%増の418.2百万ドル。売上高と一株利益が市場予想を上回り、売上の通期見通しを引き上げたことを好感し、株価は時間外で上昇した。現行ゲームの「グランド・セフト・オート」の販売が好調なほか、新作のゲームの投入も予定している。デジタル展開が奏功していて今後も期待出来そうだ。


2.スクエア(SQ)[NYSE]



スクエア(Square, Inc.)はサンフランシスコに本拠を置くモバイル決済会社。ツイッター出身者が起業。スマホやタブレットをカード決済端末として利用可能にする。「スクエア・レジスター」は領収書、在庫管理、売上報告書などの作成をサポート。利便性から中小の小売店舗の導入が広がっている。JPモルガンとオンライン決済での事業提携を発表。15年11月上場。

 株価は26.46ドル、(前日比-1.3% )(現地8/2引け)。8/2引け後発表の4-6月決算発表では純損失が16百万ドル、一株利益が赤字0.04ドルと前年同期の純損失27百万ドル、一株利益の赤字0.08ドルから改善した。売上高は26%増の552百万ドル。調整後の売上高は41%増の240百万ドル。一株利益と調整後の売上高は市場予想を上回った。通期の見通しを引き上げ、株価は時間外で小幅高となった。株価は今年に入って90%上昇しているが、会社側の今期の強気な見通しから、上昇基調に変わりないと思われる。


<米国株豆知識 その6>
米国ハイテク新興株の魅力
米国のハイテク新興株は短期間に株価が上昇する場合が多い。12年に上場したフェイスブックは株価が下落した場面もあったが、13年後半から上昇に転じ、今や時価総額44兆円に成長した。08年に上場した日本のグリーの時価総額2,000億円との差は大きい。モバイル端末での広告事業の収益化に成功したことが大きい。米国新興企業は製品やサービスに成長性があれば資金調達を容易に行い、上場時に赤字でも将来の成長を見込んで買われることもある。赤字の続いている電気自動車のテスラモーターズや紹介銘柄のスクエアがその例だ。人口3億人超の世界最大の消費市場を抱え、米国での成長が世界につながりやすい事情もある。銘柄選定のポイントとして売上高が前年比20%以上増で、利益率も高い銘柄が望ましい。相場全体の地合いが好調な今、上場して2年のスクエアなどチェックされてみては如何だろう。


執筆:パパジアン裕子

<著者略歴>
1983年上智大学外国語学部卒業後、外資系銀行、証券会社等にて勤務。モルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券在籍時は債券部に所属。その後渡米、1994年にニューヨーク大学でMBA(金融専攻)取得。みすほFGの米国拠点やみずほキャピタルマーケッツに勤務。2003年に帰国後は、主にみずほ証券投資情報部におけるヴァイス・プレジデントの任に就き60社を超える欧米企業を担当、グローバルアナリストとして数々のファイナンスレポートを執筆。鮮度の高い現地情報と知識に裏付けされた明快な市場分析には定評があり、常に投資家の視点を持ちながらベストパフォーマンスを追求。

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