株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2017-08-20 15:00:00

米株くらぶ

高値からの調整圧力

8月17日(木)の株式市場はダウが274ドル安(-1.24%)、ナスダック1.94%安と急反落した。VIX指数は16ポイントに上昇した。14日週明けの米国株式相場は前週10日(木)にダウが200ドル下げた北朝鮮情勢のリスク回避が一旦は後退して堅調に始まった。11日以降は続伸し16日には2万2000ドル台を回復していた。17日の下げは前日引け後発表のシスコ・システムズの減収決算が嫌気されたほか、トランプ政権の経済政策への後退懸念が高まったことなどによる。足元での調整はFRBの資産圧縮9月開始が近づくにつれ、一部の投資家がリスク資産調整に入るきっかけを作ったとの見方が多い。8月に入りすでに欧米の低格付け・ハイイールド債相場は下落を始めており、株式がそれに準じた模様。

経済指標はまちまち。11日発表された7月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%と市場予想の0.2%上昇を下回った。一方で15日発表の7月の小売売上高は、季節調整済で前月比0.6%増となり、市場予想の0.4%増を上回り、また、企業在庫0.5%増、NY連銀景気指数25.2など強い景気回復を示している。
ただし、物価上昇率が高まらなければFRBの金融引き締めを急がないだろうとの見方が依然として続いている模様だ。材料難のなか、短期的な調整をこなしつつも9月までは落ち着いた相場展開が続くとみられている。

 終盤戦に入った決算発表では、小売関連でデパートの業績悪化と株価の下落が目立った。5〜7月期の決算を発表したメーシーズとJCペニーは、それぞれ既存店売上高が前年同期比2.8%減、1.3%減と市場予想を超える落ち込みだった。年初来株価はメーシーズが40%、JCペニーは50%それぞれ下落している。インターネット事業への取り組みのあるなしが明暗を分け、高級デパートのノードストロームはネットでの販売比率が高く、既存店売上高が1.7%増と健闘を見せた。
 ハイテクでは、画像処理半導体のエヌビディアが10日に5〜7月の決算を発表。売上高が前年同期比56%増、純利益が2.2倍増と好調。AI向け、仮想通貨のデータ処理向けなどの需要増から8〜10月期には20%の増収を見込むなど強気である。

 あすなろでは、政治・地政学リスクなど短期間の調整に注意しつつも株高が続くことを予想している。今回は夏休みの活気が続くなか、レジャー、エンタメの分野から2銘柄を紹介する。


1.ライブ・ネイション・エンターテイメント(LYV)[NYSE]



 ライブ・ネイション・エンターテイメント(Live Nation Entertainment, Inc.)はイベントプロモーター。ビバリー・ヒルズに本拠を置き、世界40ヵ国で事業展開。チケットマスター、ライブネイション・コンサーツを傘下に置き、チケット販売、コンサート会場の運営、音楽イベントの開催などを行う。所属音楽タレントのマネージメント事業も展開。
 株価は39.04ドル、(前日比-1.79%)(現地8/17引け)。8/9の4〜6月決算発表では売上高が前年同期比29%増の2,818.7百万ドル、営業利益が53%増の113.4百万ドル。部門別の増収率ではコンサートが34%、スポンサー&広告が31%、チケットが9%といずれも好調だった。北米、海外ともにコンサートの集客数はそれぞれ2百万人増加した。
 チケットマスタ―を通じたチケットの総取引量は四半期ベースで8%増、半年ベースで13%増。オンラインでのチケット購入が世の中に浸透するなかでうまく需要を取り込んでいるようだ。株価も今年の春からきれいな上昇トレンドにある。



2.プラネット・フィットネス(PLNT)[NYSE]



プラネット・フィットネス(Planet Fitness Inc.)はニューハンプシャー州に本拠を置くフィットネスセンター運営持株会社。フランチャイズ形態によりフィットネスセンター事業を展開する。黄色と紫がブランドカラーで、平均的なジムの広さは約20,000平方フィート。有酸素運動、サーキット・トレーニング、ウェイト・エクササイズなどの器具が充実し、トレーナーによる指導も行う。
 株価は24.13ドル、(前日比-1.39% )(現地8/17引け)。8/9の4〜6月決算発表では売上高が前年同期17.3%増の107.3百万ドル、純利益が3倍増の12.4百万ドル、1株利益は基本・希薄化後ともに0.16ドルで前年同期の0.11ドルから上昇。既存店売上高は9.0%増。フランチャイズ、直営、器具の3部門ともに堅調に売上を伸ばした。6月末時点でのフィットネス会員総数は1,040万人、店舗数は1,403店舗。年間1億ドルを広告費に投じ、フィットネス界首位を狙うという。順調な業績の拡大が見込まれ、株価も上昇トレンドにつけている。

 
<米国株豆知識 その8>
VIX指数とは?
株式市場調整時に話題に上るVIX指数は、シカゴオプション取引所(CBOE)が算出・公表する「ボラティリティ・インデックス」の略称。S&P500を対象とし、オプション取引のボラティリティ(値動き)から向こう30日間の価格変動幅を予想する。ポイント単位で表示され、2008年リーマンショックの株価大幅下落時には過去最高の89.53ポイントを付けたが、リーマンショック以降は10〜20ポイント間で推移している。ボラティリティが高くなることは、市場参加者が市場の値動きが荒くなると予想していることを表すため、「恐怖指数」ともいわれるが、下落相場が続くことイコールVIX指数の高止まりには必ずしもならない。ただし、VIXが急上昇した翌月は市場の調整を招くとの調査結果もあり、何かと調整の入りやすい9月には注意が必要かもしれない。



執筆:パパジアン裕子


<著者略歴>
1983年上智大学外国語学部卒業後、外資系銀行、証券会社等にて勤務。モルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券在籍時は債券部に所属。その後渡米、1994年にニューヨーク大学でMBA(金融専攻)取得。みすほFGの米国拠点やみずほキャピタルマーケッツに勤務。2003年に帰国後は、主にみずほ証券投資情報部におけるヴァイス・プレジデントの任に就き60社を超える欧米企業を担当、グローバルアナリストとして数々のファイナンスレポートを執筆。鮮度の高い現地情報と知識に裏付けされた明快な市場分析には定評があり、常に投資家の視点を持ちながらベストパフォーマンスを追求。

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