株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2017-08-27 15:00:00

米株くらぶ

政治リスクを睨んで神経質な展開

8月21日の週明けの株式市場はダウが前週の反落から反発して始まり、22日(火)には196ドル高と大幅続伸。S&P500とナスダックも買われともに50日移動平均線を回復した。同日の下院のライアン議長による税制改革法案成立に向けた楽観的なコメントが好感された。9月5日議会再開を前に、減税や債務上限引き上げ法案などの行方がとかく話題になりがちである。現在ほぼ上限に達している連邦債務の上限引き上げ法案については、議会への調整を巡ってムニューニン財務長官とコーン国家経済会議委員長の意見の相違が指摘されている。債務の上限引き上げがなければ、FRBの金融政策続行にも支障をきたすとし、トランプ政権が混迷することによる政治リスクが金融市場への重しとなることが懸念され始めている。

 材料難のなか、週末24〜26日開催予定のジャクソンホール会議でのイエレンFRB議長の講演内容が注目される。FRBは、物価水準が上がらずインフレ率が鈍いことから追加利上げに慎重になっているとされ、年内の追加利上げや資産縮小開始時期について積極的な発言がなければ、9月までは調整をこなしながら落ち着いた相場展開が続くとみられている。

終盤戦に入った決算発表では、中国インターネットサービス関連の躍進が人目をひいた。インターネット市場は中国経済成長の鈍化の影響を受けにくく、外国企業を締め出し(中国企業の海外進出はOK)、独自のサービスや戦略アイデアを打ち出した先が勝ち組を誇っている。16日発表の中国版ライン「微通(ウィーチャット)」を展開するテンセントは4〜6月期決算で売上高が前年同期比69%増、純利益が70%増となった。主力のスマホゲームが好調だったほか、動画配信が増え広告収入の増加につながった。17日発表の電子商取引最大手のアリババの4〜6月期決算は、前年同期比で売上高が56%増、営業利益が99%増となった。スマホを利用した会員一人当たりの販売額が伸びたほか、東南アジアのネット通販会社の買収が寄与した。アリババ、テンセントともに市場予想を上回る好決算となり、株価は年初来それぞれ80%、70%以上の上昇と際立った動きがみられる。

あすなろでは、政治リスクによる短期間の調整に注意しつつも株高が続くことを予想している。今回はアリババ、テンセントの2強以外で決算内容が注目された中国インターネット関連の2銘柄を紹介する。


1.58.com(58同城)(WUBA) [NYSE]


 
58.comは、中国最大のインターネット情報サイトを運営する。住宅関連、中古品販売、自動車販売、求人情報など様々な分野をカバーし、中国約400の都市でサービスを展開する。

株価は67.07ドル、(前日比-0.33%)(現地8/24引け)。8/20の4〜6月期決算発表では売上高が前年同期比33%増の2,593百万人民元(383百万ドル)、買収などの影響を除いた調整済ベースでの純利益は5倍弱の662百万人民元(98百万ドル)。希薄化調整済のADSは0.66ドルで市場予想の0.12ドルを大きく上回った。登録会員数は中国全土で24.8%増の246.4万人と右肩上がりの成長が続く。決算内容を好感して株価は年初来高値を更新した。今回特に好調だった求人を始め様々な分野での需要の取り込みが今後も期待できよう。なお、同社には2014年にテンセントが株式の20%を取得したことも話題になった経緯がある。

2.モモ(MOMO)[NASDAQ]



モモ(Momo Inc.)は、モモ・モバイル・アプリケーションの名前で携帯用ソーシャル・ネットワーキング・サービスを展開する他、ユーザー、顧客、プラットフォームパートナー向けに様々な関連機能、ツール、サービスを提供する。

 株価は37.98ドル、(前日比+3.38% )(現地8/24引け)。8/22の4〜6月期決算発表では売上高が前年同期比215%増の312.2百万ドル、買収などの影響を除いた調整済ベースでの純利益は218 %増の73.8百万ドル、希薄化調整済のADSは0.35ドルで前年同期の0.12ドルから上昇。6月月間有効利用者数は91.3百万人と前年の74.8百万人から増加した。ライブビデオ配信や様々な課金サービス、モバイルゲームなどが好調で市場予想を上回る好決算となったが、バリュエーションの高さを理由に22日の株価は大幅下落した。翌23日には見直されて反発している。モバイル課金を軸に今後も順調な業容拡大一途が見込まれよう。


<米国株豆知識 その9>
ジャクソン・ホール会議とは?
カンザスシティ連銀が毎夏にワイオミング州ジャクソンホールで開催するシンポジウム。ちなみに“ホール”は“峡谷”を意味する。IMFを始め各国の中央銀行の幹部や著名な経済学者が招かれ、金融政策やフィンテックなどのホットな経済テーマについて議論する。記者会見はないものの、講演内容の報道が市場に影響を及ぼす場合もある。25日(金)予定のイエレンFRB議長とドラギECB総裁の講演で今まで報道されている以上の内容が示唆されるかがポイントである。

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