11月20日週明けの米株式市場は、先週末の材料出尽くしからの調整の後反発して始まり、21日の主要3指数は2日続伸した。翌22日はNYダウとS&P500が小幅反落。ナスダックは3日続伸した。22 日午後に公開された10月末のFOMC議事録では「経済に大きな変更がなければ近い将来に利上げする」との意向が確認され、市場へのサプライズはなかった。
　木曜日の感謝祭を過ぎればクリスマスシーズンに入るため動きづらいなか、ジリジリと上値を更新するサンタラリーを期待する見方もある。

　22日に目立った個別株の動きはメグ・ホイットマンCEO退任のニュースを受けたヒューレット・パッカード・エンタープライズが7%売られたほか、債券利回りの低下を受けた金融株のゴールドマン・サックスやアメリカン・エキスプレスが小幅安となった。

　債券市場は特に手がかりないなか10年債利回りは22日時点で2.3%台前半の推移。足元で短期金利の指標とされる2年債の金利が上昇していて10年債とのスプレッドの縮小が指摘されている。
　ドル円は重たい米長期金利を受けて週初めに112円台前半で推移していたが、23日の東京市場では111円前半まで下落した。

あすなろでは決算のピークも去り、内外の大きな環境に変化なしとみて、米株は堅調続くとみている。今週は決算内容を好感して大きく買われたネットワーク機器大手のシスコシステムズに続く大小2銘柄を紹介したい。


1. アリスタ・ネットワークス（ANET）[NYSE]



　カリフォルニアに本拠を置くネットワーク機器メーカーの一角。全世界の約50カ国にて、クラウドサービスプロバイダーや大規模インターネット企業向けに、イーサネットスイッチや、クラウドネットワークプラットフォーム、エクステンシブル・オペレーティング・システム(EOS)およびネットワークアプリケーションを提供する。
　
　足元でクラウドサービスプロバイダー向けの新製品を投入し、業績を大きく伸ばしている。2017年9月のフォーチュン誌の成長著しい100社のリストのトップ10を占めた。

　株価は239.01ドル、(前日比-2.42%)（現地11/22引け）。11/2発表のQ3(7〜9月期)決算は、売上高が前年同期比50.8%増の437.6百万ドル、純利益は160.9%増の133.7百万ドル。EPSは基本1.84ドル、希薄化後1.68ドルと前年同期の0.74ドル、0.69ドルからそれぞれ改善。
　
2. エクストリーム・ネットワークス（EXTR）[NASDAQ]



ネットワーク機器メーカーの一角。データセンター、およびサービスプロバイダーのための有線および無線ネットワークインフラ機器、ソフトウェアおよびサービスを提供する。顧客は80ヵ国以上の企業、病院、ホテル、大学、スポーツ施設、通信会社や政府機関など。

　クラウドサービスのマーケットが上向くなか、病院、ホテルといった個別産業に特化したネットワーク機器を投入することで顧客層拡大を図っている。

　株価は13.55ドル、(前日比-2.59%)（現地11/22引け）。11/7発表の18年度Q1(17年7〜9月)決算は、売上高が前年同期比72.7％増の211.7百万ドル、純損益は4.4百万ドルと前年同期の赤字5.7百万ドルから黒字転換、基本、希薄化後EPSはともに0.04ドルで前年同期のともに赤字0.05ドルから黒転。


＜米国株豆知識その21＞
クラウドサービスとネットワーク機器
ネットワーク機器とは大雑把に言うとコンピューター同士をつないでデータのやり取りをするために必要な装置のことを指す。役割別に、イーサネットなどのケーブル、データの中継をするルータ、データ送信の際の信号の役割を果たすスイッチなどの名称がある。クラウドとはGmailやYahooメールなどのWebサービスを思い浮かべばわかるように、個人や自社のサーバーにデータを保存するのでなく、インターネット上にデータを保存する仕組みである。
すでにアメリカではケーブルテレビをやめて安価なインターネットで映画やTVを視ることが主流になりつつあるように、インターネットを介したデータのやり取りは無限に拡大することが見込まれる。今週取り上げたアリスタ・ネットワークス、エクストリーム・ネットワークスともにネットワーク機器製品をクラウドサービス向けに投入している。クラウド用ネットワーク機器は、ハイテクのなかで抑えておくべき分野の一つであるといえよう。