株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2017-12-10 15:00:00

米株くらぶ

利益確定売りで軟調 〜アルコール飲料: ブラウン・フォアマン、ボストン・ビール

12月4日週明けの米株式市場は前週末の取引時間外に上院で税制改革法案が可決されたことを好感し、ダウが大幅反発して始まったものの、翌5日には利益確定に押されて3指数とも下落した。調整の入っているナスダックは3日小幅続落となった。6日はナスダックが小幅反発したものの、ダウ、S&Pは続落した。Q3 決算発表もほぼ終了し、足元で材料視されるのは上院と下院で一本化した税制改革法案の決議の進捗と、8日発表予定の11月の雇用統計であろう。

個別では、5日、住宅建築販売大手のトール・ブラザースが寄り前発表の8〜10月期決算で増収、増益幅が市場予想を下回り、平均販売価格も会社見通しを下回ったことが嫌気され前日比7%下落した。同日、メディア大手のウォルト・ディズニーは2%下落。FOXメディアの映画、TVスタジオなど一部の事業を買収するとの報道により前日7%買われたが、利益確定売りが入った。ファストフード大手のマクドナルドは証券会社の投資判断引き上げを好感して1%買われ、上場来高値を更新した。

経済指標では5日発表のISM非製造業景況指数が予想59.0を下回る57.4と発表された。8日金曜には11月の雇用統計が発表予定。失業率4.1%、非農業部門雇用者数増加が前月比19.9万人と予想されている。

債券市場は税制改革が米経済に与える景気刺激効果が限定的なのではとの見方も広まりつつあって長期金利が上昇しづらい状況が続いている。10年債利回りは6日時点で2.3%台前半を付け、今年3月の2.6%の水準を下回り、ここ1ヵ月2.3〜2.4%の範囲での推移が続いている。ドル円も今週、112円台を回復したものの、円安に振れる方向感を欠いている模様。

あすなろでは税制改革法案決議の進捗に注意しつつも、穏やかな景気拡大が続く環境に大きな変化なしとみて、米株は堅調続くとみている。個別銘柄について決算から業績が上向いていると確認できるものには「買い」で臨みたい。今週は忘年会シーズン到来のなか、アルコール飲料2銘柄を紹介したい。

1. ブラウン・フォアマン(BF-B)[NYSE]



 ブラウン・フォアマンは各種アルコール飲料の製造、輸出入、販売大手。バーボン・ウィスキーの「ジャック・ダニエルズ」、「サザン・コンフォート」、「フィンランディア」、「ジェントルマン・ジャック」や、「カナディアン・ミスト」、「コベール」、「アーリー・タイムズ」、「シャンボール」、「ドン・エドゥアルド」などのブランドを世界中で展開。米国内では卸売販売業者や州政府を通じて販売する。

12/6発表の18年度Q2(8〜10月)決算が事前予想を上回り、また通期の既存店売上見通しを引き上げたことを受け、株価は上昇した。「ジャック・ダニエルズ」を筆頭にブランド展開が奏功中。海外でも英国、ドイツや新興国の売上が堅調。プレミアムウィスキーの売上が伸びているように、景気拡大から素直に恩恵を受けよう。

 株価は66.03ドル、(前日比+0.27%)(現地12/7引け)。18年度Q2(8〜10月)決算は、売上高が前年同期比10%増の914百万ドル、既存店売上高は8%増。純利益は21%増の239百万ドル。基本、希薄化後EPSはともに23%増の0.62ドル。

2. ボストン・ビール(SAM)[NYSE]



ボストン・ビールは、米国のアルコール飲料メーカー。米国の商標登録を120以上収得し、地ビールブランドの、「サミュエルアダムズボストンラガー」、「サミュエルアダムズ」、「サムアダムスライト」などが有名。卸業者を通してパブ、レストラン、食料品店、コンビニエンスストア、スタジアムや他の小売店に販売する。

 10/26発表のQ3 (7〜9月)決算では、出荷が4%減とやや不振だったことを受けて若干減収となったが、広告宣伝費を抑え、販管費を抑制したことなどで増益を確保した。クラフトビールは消費者の嗜好に左右されやすいが、主力の「サミュエルアダムズ」にIPAなど新ブランドを投入予定であり、競争激化に善戦している模様。現CEOが18年一杯で退任する予定。新CEOの舵取りにも期待できよう。

 株価は189.95ドル、(前日比+0.66%)(現地12/7引け)。Q3(7〜9月)決算は、売上高が前年同期比3%減の247百万ドル、純利益は7%増の34百万ドル。EPSは基本が2.82ドル、希薄化後が2.78ドルで前年同期のそれぞれ2.53ドル、2.48ドルから改善。

<米国株豆知識その23>
アルコール飲料業界について
米国では酒造メーカーは州の卸売業者を通してのみ商品の販売が可能である。現在、アルコール飲料卸売市場の約6割がサザン・ワイン・&スピリッツなど大手4社で占められているが、近年のクラフトビールの攻勢によりニッチな卸売業者も多くみられるようになった。業界誌によれば、「バッドワイザー」、「クアーズ」、「ミラー」といった代表的なビールのブランドが年々売上を減らしているのに対し、地ビールやウィスキーの需要が上向いているという。流行や好みに敏感なミレニアル世代の台頭とも関係している。
尚、静かに進む大麻合法化の動きがリスクとなるかについて、アインハイザー・ブッシュやボストン・ビールがコメントを控えているのに対し、モルソン・クアーズは市場へのインパクトを分析中と発言。また、「コロナ」、「モデロ」を持つコンステレーション・ブランズ(STZ:NYSE)は10月末のQ3決算発表時にカナダの医療用大麻会社の9.9%買収を発表している。

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