株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2018-02-04 15:00:00

米株くらぶ

長期金利上昇で神経質な展開 〜医療装置関連:アライン・テクノロジー、アピオメド

1月29日週明けの米株式市場は、世界的に長期金利が上昇していることを受けてダウが前週末比177ドル下落して始まった。オランダ中銀総裁による資産購入終了支持の発言を受けた欧州債券市場の下落につられる形で米長期金利は上昇。一時、3年9ヵ月振りの水準である2.72%を付けた。30日にはダウが一時400ドル下げる場面もあり、大幅続落。ナスダック、S&Pも2日続落した。
 31日にFOMC声明分が発表され、「インフレ率が中期的に2%前後でもみ合う」としながらも段階的な更なる利上げを示唆し、3月に利上げを行う下準備が整ったとの見方につながった。金利上昇を受けて株式市場は下落に転じる場面もあったが、好調なADP雇用統計や強気なボーイングの決算発表などから買いに転じ、3指数とも前日比プラスで引けた。

 セクター別では、30日にアマゾン・ドットコムとバークシャーハサウェイ、JPモルガンチェースが従業員向けヘルスケア会社を共同で立ち上げるとの報道を受け、ヘルスケア関連株が売られた。
 経済指標では31日にADP民間雇用統計が発表され、予想を上回る2ヶ月連続の20万人超と好調。エコノミストは今年1年で200万人の雇用増を予想している。又、1月30日夜、トランプ大統領が政権2年目の姿勢方針を示す「一般教書演説」を行い、就任1年目の成果として経済成長と税制改革を訴えた。

 米債券市場は弱含み。ECBの金融政策正常化の見方を受けた欧州債市場の下落が米国にも飛び火し、10年債利回りが「天井」だった2.7%を3年9 ヵ月振りに抜けたあと、31日のFOMC声明文発表を受けて一時2.75%まで上昇した。
 ドル円は米財務省長官のドル安容認発言などを受けて円高に振れ、31日の東京市場では108円の半ばで取引されていたが、FOMCを受けてドル安は一段落。1日の東京市場では109円前半で推移している。
 原油市場は、産油国による協調減産継続やイラン・サウジアラビア間の緊張を受けた地政学リスクも反映し、昨年半ばに底入れしたあと上昇基調にある。31日のNY市場でWTIは1バレル64ドル台後半で引けた。

あすなろでは金利上昇を受けた利益確定売りの調整に留意しつつも、引き続き企業業績が好調なことを受けて米株は堅調であるとみている。Q4決算発表を受けて業績の上向きが期待できる先について押し目は好機ととらえ「買い」で臨みたい。
 今週は税制改革の恩恵により企業が雇用者向け医療関連の支出を増やすのではないかとの見方も出てきた医療装置関連からナスダックの2銘柄を紹介する。

1. アライン・テクノロジー(ALGN)[NASDAQ]



 カリフォルニア州サンノゼに本社のある歯列矯正システムメーカー。歯科および歯列矯正市場にマウスピース型歯列矯正システム、口腔内スキャナー、CAD/CAMデジタルシステムを設計、製造、販売する。主要製品にはマウスピース型歯列矯正システム「インビザライン・システム」および口腔内スキャナー「アイテロ」がある。
 30日発表の17年度Q4(10〜12月)決算は、「インビザライン」、「アイテロ」ともに売上好調で売上、営業利益ともに過去最高となる好決算となった。「インビザライン」の出荷は米国内外で伸びて前年同期比34%増の26万個。うち、ティーン・エージャー向けは44%増の6万5千個。営業利益率も26%を確保している。歯列矯正の器具の装着を容易にする特許も取得しており、売上の伸びしろは大きいと言えよう。
株価は255.57ドル、(前日比-2.45%)(現地2/1引け)。Q4決算は、売上高が前年同期比44%増の421百万ドル、営業利益は60%増の110百万ドル。純利益は税制改革の影響を受けて78%減の10百万ドル。EPSは基本、希薄化後とも0.13ドル。

2. アビオメド(ABMD)[NASDAQ]



マサチューセッツ州ダンバースに本社を置く医療装置メーカー。心不全患者の心臓回復治療に必要な循環補助装置や内蔵型循環補助装置、モニタリング装置を開発、製造、販売する。また、小型心臓ポンプや完全人工心臓の開発も手掛ける。米国以外世界各国で製品の販売を行う。
同社の心不全患者用の医療装置には特許を含む多くの製品があり、市場拡大が見込まれるなかで患者使用率を増やしながら優位を保つとみられる。1/8に18年Q3(10〜12月)概算決算を発表。心臓ポンプ「インペラ」が好調で前年同期比34%増の154百万ドルを見込む。また18年通期ガイダンスも上方修正し、前年比31%増の582百万ドルと発表している。
株価は253.13ドル、(前日比+7.71%)(現地2/1引け)。現地1日に18年Q3(10〜12月)本決算発表予定。

<米国株豆知識その29>
大統領の一般教書演説とは
米大統領が年に1回、政策について議会に報告する演説。就任直後の施政方針演説と異なり、就任1年後の成果を踏まえた課題について述べる。米国は議員内閣制でないため、これを除くと大統領が議会で演説する機会はほとんどない。
今回の演説では移民政策や通商政策に言及したほか、官民合わせて1.5兆ドルのインフラ投資を訴えた。米国では高速道路や橋などの老朽化が進んでいるためインフラ整備には猶予がないものの、政府の財源不足もあり地方政府や民間投資も合わせた大きなプロジェクトの遂行が注目される。

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