調整一服、再び上昇基調へ 〜ハイテク3Dプリンター関連:、プロト・ラブズ、ストラタシス
長期金利高を好感してゴールドマン・サックスなどの金融株が買われ、アップル、アマゾン・ドットコム、フェイスブックなどのハイテクも高い。因みに先週紹介のリング・セントラルは12日発表のQ4 決算発表が市場予想を上回り、14日時点で2日続伸した。
VIX指数も14日時点で20弱の水準に落ち着いている。なお、VIX指数については13日、ウォール・ストリート・ジャーナルが指数の取引をめぐって不正な市場操作が続いており一般投資家が損失を蒙っているとして一部の金融関係者からのSEC(証券取引委員会)への告発があったと報じた。一方、長期金利は国債増発時代に入ったとの見方から上昇圧力がかかっており14日時点で10年債利回りは2.9%台まで上昇している。
14日発表の1月の小売売上高は前月比0.3%減少となり、市場予想の0.2%増を下回った。一方、消費者物価指数は前月比0.5%上昇、前年比2.1%上昇、エネルギー・食品を除くコア指数は前月比0.3%上昇、前年比1.8%上昇。市場予想を上回っており、物価上昇基調にあることが確認された。
ドル円は米長期金利上昇の流れを受けて強含んでいたところ、14日には日経平均が売られたことや米国での保護主義懸念観測を受けて東京市場で106円台まで一気に円高が進んだ。日経平均が伸び悩んでおり、15日午後の東京市場では106円半ばで推移している。
原油市場はEIAの週間在庫統計発表で在庫増が市場予想を下回ったことで買いに転じ、14日のNY市場でWTIは1バレル60ドル台後半で引けた。
あすなろでは金利上昇を受けた利益確定売りの調整も一服し、景気拡大を受けた強気相場が復活したとみている。米株について従来どおり堅調な見方に変わりない。Q4決算発表を受けて業績拡大が見込める先には引き続き「買い」で臨みたい。
今週は相場全体が下げたなかでも業績好調な先、また業績回復が見込まれる3Dプリンター関連2銘柄を紹介する。
1. プロト・ラブズ(PRLB)[NYSE]
プロト・ラブズは、オンデマンド受託製造パーツ大手。顧客が提出する3D CADデータを元にプラスチック射出成形、切削加工を手がける。コンピュータ数値制御(CNC)機械「ファーストカット」、プラスチック射出成形「プロトモールド」を使用し、顧客のカスタムパーツを製造する。米国、欧州、日本で事業展開する。
2/8発表の17年度Q4(7〜9月)決算は、CNC、プラスチック射出成形とも好調で2桁増収増益を達成。米RAPIDマニュファクチャ社買収も寄与した。世界中でデジタル製造の流れが浸透するなか、業界優位を保つことが見込まれる。
株価は113.75、(前日比+4.55%)(現地2/15引け)。Q4決算は売上高が30%増の94百万ドル、純利益は14百万ドル、希薄化後EPSは0.53ドル。
2. ストラタシス(SSYS)[NASDAQ]
イスラエルの3Dプリンターメーカー。米国ミネア・ポリスにも本拠を置く。製品の設計・製造工程で使う部品や、直接生産の部品用に付加的製造ソリューションを提供。アイデア・デザイン開発向けにデスクトップ3Dプリンターを提供するほか、ラピッドプロトタイピングやデジタル生産用に生産システムを提供する。北米、欧州、中東、アジア太平洋、ラテンアメリカにて事業展開。
同社が製品提供する分野は航空宇宙、防衛、建築、自動車、消費財と多岐に亘る。ボーイング、フォードとも事業提携しており、3Dプリンター市場拡大とともに業容拡大が見込まれる。11/14発表の17年Q3(7〜9月)決算では大規模な受注の売り上げ計上の遅れが影響して減収、赤字幅拡大となった。会社側ではコスト管理を徹底し、受注の起伏を管理できる体制作りを進めるとしている。
株価は20.76ドル、(前日比+2.72%)(現地2/14引け)。Q3決算は、売上高が前年同期比1%減の156百万ドル、純損失は赤字10百万ドルで前年同期の赤字21百万ドルから赤字拡大。現地2/28にQ4決算発表予定。
<米国株豆知識その31>
米予算教書について
12日にトランプ政権は19会計年度(18年10月〜19年9月)の予算教書を公表。国防費は7%増と大幅増額、今後10年で1.5兆ドルのインフラ投資にかかる公共事業費の積み増しの一方で医療費補助制度のメディケイド、メディケアを削減する。オバマケアを撤廃することで6800億ドルを捻出すると言う。今後は上下両院で立案、決定する経緯となる。
19年度の財政赤字は9800億ドルと7年ぶりの水準に悪化、対GDP比で4.7%に達する模様。生活保護など社会保障費を圧縮する計画だ。米議会では2月に入って政府予算歳出上限を今後2年で3000億ドル積み増すことを決定済み。大幅減税の一方で歳出が増えることは国債増発を意味し、一層の金利上昇圧力の高まりにつながることが懸念されている。
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