加藤の相場展望< 番外編 2 >
昨日に続きまして、足元の市場環境の確認と今後の展望と戦略を考察していきたいと思います。
前回である程度週末の振り返りを行いましたので、今週の予定と照らし合わせて市場の流れを見ておこうと思います。
まず、目先で気になるのは休日明け最初の立会日である26日(月)ですが、当然気にしておかなければならないのは日米ともになし崩し的に売られたことに加えて、ほぼ安値引けとなっていることですね。
日本株にいたっては底割れしておりますので、追証投げも警戒しておかなければなりません。
今回の下落のなかで2月と大きく異なるのは米国売りの中で株安・ドル安さらに債券安のトリプル安になるかと思いきや米国債は買われていることです。また、一緒に金や原油などオルタナティブ資産が買われているところも最近のリスクオフ時の傾向と異なる点です。
これにはキャッシュポジションを増やすことよりも他の市場に資金を退避させた側面が色濃く表れています。
また、投機筋のドル円ポジションの集計をみると先週の円高進行の中でかなりポジション整理が進んでおり、売り玉、買い玉ともにだいぶ接近してきましたので、需給的には円高一服の頃合いになってくるかと思います。
カギを握るのはやはり今の市場が「政治」に揺さぶられてファンダメンタルやテクニカルなどの指標が効きにくいところにあります。
そうした意味でも27日(火)の佐川氏証人喚問はまさに鬼門となりそうです。
昨日述べた空売りの標的になりかねないニュース動向は逐一追っておく必要がありますが、一緒になって悲観したり現政権のせいにしたりするのは投資家のあるべき姿とは言えません。
ただただ冷静にポジション管理を徹底し、売買のタイミングを計るだけです。
2月の暴落時から書いているので大丈夫かと思いますが、信用取引を利用している方は維持率に細心の注意を払っておいてください。そのためにも不用意な売買は避けなければなりません。
特に追証にからむ投げ売りは狼狽売り同様にかえって市場退場の誘い水となりますので、株価の動向よりも常に信用維持率に目を光らせておくようにしましょう。
そう考えると、やはり今週前半の月曜・火曜は先週末に消化しきれなかった追証回避の売り物が出ることも覚悟しておく必要があり、28日(水)の権利付き最終日に伴う配当取りの買い需要を打ち消す可能性も考慮しておきましょう。
週前半のリスク要因をなんとか乗り切ることができれば、需給が悪化している局面でもある程度の反動は見込めるようになってくるかと思います。今週末の30日(金)はグッドフライデーで欧米、香港市場などが休場ですので、海外勢は短期決戦を挑んでくるでしょう。
そうした観点から、先週末時点で概算的には日経225オプション4月限の20000円近辺プットの出来高が増加していますので、ここを意識している市場関係者が多いと思われます。昨年はこの水準で3ヶ月程揉んで下値を固めているだけに、余程の下落圧力でもある程度堪え切れるのではないかとみています。
こうした地合いの悪化ではどうしても目先のところに目を向けがちになりますが、やはり中長期の動向を見ておく方が最善の投資判断を導き出しやすいと言えます。
先ほどファンダメンタルやテクニカルなどの指標が効きにくいと述べましたが、そこまでくれば安いことに疑いの余地はありません。
足元の日経平均EPSは1700円近くに達しており、仮に20000円を基準にした場合のPERは11.76倍となってきます。
米中の貿易戦争のなれの果てはいざ知らず、いくら年度末の円高リスクや政治リスクを意識しているとは言えども健全な企業活動がもたらす価値評価が今の水準で推移することは考えにくいはずです。
中長期視点に立ったとして、何も来年や東京オリンピックが終わった後の値動きを予想するわけではありません。
かの著名投資家であるウォーレン・バフェット氏も「価値評価と予想は別物」と言い切っています。
投資家のあるべき姿とは、お茶の間のワイドショーでやっているような政局のあれこれを一緒に予想するわけでもなく、世界の指導者の立ち居振る舞いを好き嫌いと論じることでもなく、事実を基にした正当な価値評価を下して投資判断することです。
もちろんそれを前提にした上で、個々の事情に応じて、買う人もいれば売る人もいるでしょう。
しかし、あくまでも予想や思惑だけで売買を重ねていっても傷口に泥を塗るだけです。
この際ですからまたしてもウォーレン・バフェット氏の言葉を借りるならば、「株式市場に見逃し三振はありません。投げられる球、投げられる球、全てを振らなくてよく、いい玉を待ち続けられるのです。」と語っており、動かないことの大切さを説いています。これは無駄な買い物をしないこともそうですが、早まって売らないということにも言えます。
つまり、戦略的に“待ち”の時間を意識して、“買い場を探る”“売り場を探る”というのが立派な投資判断であることを認識する必要があります。
投資教育が遅れている日本でも、浪費癖のある人はお金が貯まらないとよく言われます。衝動買いのような無駄な買い物は避けて必要な分だけ買う、今の投資環境に当てはめれば新規買いは試し買いだけに留めておくということになります。
あとは買い増し、買い乗せ、ナンピン買い、局面に応じて動いていけば自ずと利益もついてくるかと思います。
ただただ当たり前のことを繰り返しますが、市場の異常は異常と認識しておき、変な衝動買いや損切りなどで余計な損をしないことが重要です。
個人投資家の強みである時間を味方につけて、底値を確認した後にしっかりと動いていきましょう。テクニカル面でも底割れで更新してきた2番底をつけた後は“買い場がやってきます。”
現在のPERは11倍台でしたよね。平準的なPER15倍の日経平均水準は25500円です。
コラムでも度々リスク要因に挙げてきた円高を加味して来期の企業業績、EPS等が下振れしたとしても、次回の決算発表シーズンまでに水準訂正の動きは出てくるはずだと見ておくべきです。
先ほどの需給要素を加えれば、4月オプションSQ(4月13日)をターゲットにした投機ポジションの巻き戻しと重なってきてもおかしくありません。
シナリオとしてはいくつか用意しておく必要があるかと思いますが、今週中にボトムをつけ、4月前半にいま一度3番底を確認するパターンも想定されます。
今週末は天気にも恵まれて絶好のお花見日和だったみたいですが、あいにく忙しさにかまけて桜をゆっくり愛でることも叶いませんでした。
思い返せば昨年の今頃もモリカケ問題で地合いが悪化し、日中首脳会談の際にシリア爆撃が報じられるなどして生きた心地がしなかった投資家の方は多かったと思います。
昨年は4月中旬を起点として高値を更新し、投資家にとっては遅咲きの桜が満開となりました。
今年は例年よりもひと足早く満開の時期を迎えましたので、投資家の皆様にとっても清々しい春が訪れることを願って共に闘っていきたいと思っています。
市場の動向とともに『加藤の相場展望< 番外編 3 >』を考察していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い致します。
【 人 生 の 格 言 】
『相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく』
(アメリカ著名投資家 ジョン・テンプルトン)
それでは、明日に希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆:加藤あきら
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