突発的な急落はトルコ発の為替動向から
先週の日経平均300円安となった金曜日に続き、本日も2%近い下げ幅を記録しました。
一時はトルコ中銀の流動性供給の声明をうけて、後場には戻りを試す場面もみられましたが、結局は安値引けまで売り物に押されました。
今回の売り材料が、これまでの米中貿易戦争と比べても、極めてデリケートな金融システムにからむものであったため、かつてのリーマン・ショックを想起させて投資家のリスク回避姿勢が非常に強まったと言えそうです。
大筋としては、前回の日経平均23000円突破が実現できなかった上に、夏休みの取引が薄くなっているところを、短期的な仕掛け売りで狙い撃ちされた格好と言えます。
とくに新興市場で凄惨な下げがみられたところに事態の深刻さが窺えます。
現状のマザーズ指数は年初来の高値からおよそ30%近く下落する水準まで売り込まれています。
週末のトルコ・ショックを発端に、南欧の金融機関を中心にシステマティック・リスクの懸念が持ち上がっています。
今回の問題をより一層複雑にしているのがトルコの政治情勢で、前回の選挙で再選を果たしたエルドアン大統領が対米路線を明確にしたことにより、夏休み中だったはずのトランプ米大統領がアルミ・鉄鋼の貿易関税発動を示唆する事態となっています。
本来、トルコはNATO(北大西洋条約機構 )に属していましたが、その中で孤立して最近は中国・ロシアとの接近を強めていました。
欧米との対立軸が徐々に明らかになり、仮にですが、トルコ発の金融危機が起きた際にギリシャの時と同じような救済プログラムが組まれるのか、非常に不透明な状況であることも先行き不透明感に拍車をかけていると言えそうです。
金曜日の段階で、ある程度は日経平均も先行して下げておりましたね。
為替の円高も織り込みにいく動きがありましたが、不十分だったのでしょう。むしろ、引け後にトルコリラの水準が大きく切り下がったために、本日改めて市場反応として下落幅が大きくなったものと考えられます。
先週時点では市場の注目点は日米の貿易協議(FFR)にあり、これは無難に通過して結論が先送りされてだけに、このトルコ不安が新たな売り材料として市場の的になったと言えそうです。
おそらく、トルコへのエクスポージャー比率が高い欧州の銀行株が売られ、リスクオフが波及して結果的に円が買われやすくなり、この円高を嫌気しての日本株売りという構図が成り立つのでしょう。
ただし、本日の引け段階で明るい材料も出てきている点を見逃すことはできません。トルコの中銀が流動性供給に動くにあたり、具体的な資金規模やオペレーションの方法が明らかになってくれば、不安も徐々に和らいでいくはずです。
ここから一段と売り込まれるという流れは、本当にリーマンショックのような危機的状況に陥らない限り、つまり、現段階では想定しづらいとみておくべきでしょう。
日経平均は下値を模索する動きですが、直近の7/5安値である21462円を基準とするよりも、その前の安値21931円を下値のメドとして意識しておきたいところです。
本日はこの21931円を割り込む動きもみられておりますので、下値警戒は必要ですが、この水準で為替円高の一服と下げ止まり確認となれば、チャート形状では逆三尊形成の可能性が高まります。
今晩の海外市場を含めて、明日には市場心理の悪化を押しのけて早期に反発してくるようであれば、あとは日柄の調整を待つのみです。
足元では再び個人投資家の追証発生件数も急激に増加していると思われますので、市場から退場させられないことを最優先して、ポジションを抑えながら取り組んでまいりましょう。
目先は株価よりも為替市場の動向を注視しておくのがよさそうです。
【 人 生 の 格 言 】
『 リスク管理には多少のコストもかかりますが、普段から対応をしていなければいけない。 』
(信越化学会長 金川千尋)
それでは明日も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆:加藤あきら
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