年金2000万円不足問題を株式投資で解決するには?
梅雨入りして早1週間が経ちましたが、株式市場は大崩れもなく、かと言ってスッキリ買われることもなく、どんより曇り空の状況が続いています。
VIX指数は若干低下してきておりますが、依然として空売り比率は高まりやすく市場の売買の半分近くを占めています。
アルゴリズム取引などのプログラム売買が市場を支配している現状で、裁量トレードするのは以前にも増して難しいと感じていらっしゃる投資家の方は多いかもしれません。
アルゴリズム取引の市場環境は一般的な投資家が売買する証券取引所だけでなく、PTS(私設取引システム)やダークプールなど至るところに広がっており、コンピュータは時間も選ばず疲れ知らずです。
株価の板を見たことがある方は目にもとまらぬ速さで動く見せ板や、自分が注文を出した瞬間に反応してくるステルス注文などを何度も目にしていることと思います。
株価形成においてこうした高速取引システムが幅を利かせるようになった今では極めて短い時間軸での株価の動きを予測することは非常に難しいと言わざるをえません。
しかも、これらのシステムを用いた上で、大量の資金にレバレッジをかけて取引に臨んでくるコンピュータを相手に真っ向から勝負を挑んでも、取引スピード、資金量ともに太刀打ちできるものではありませんね。
では、彼らヘッジファンドが苦手な部分は何かお分かりでしょうか?
彼らが得意とする投資戦略は多岐に渡っていますが、最も苦手なのは膠着する相場、トレンドが出ない相場です。
個人投資家にとっても値幅がとれないから苦手だと言う方は多いかもしれませんが、個人投資家にとって最大の武器は“時間”です。これは機関投資家がどれだけ優れた運用手法を駆使できたとしても手にできない絶対的な優位性となります。
あすなろには連日のようにたくさんのお問い合わせ・ご相談が寄せられています。
多くの会員様にご愛顧賜り、この場を借りて御礼申し上げる次第ですが、そのたくさんのお問い合わせの中で気になることがあります。
よくお問い合わせをいただく方に共通するのは、この個人投資家が有する絶対的な武器であるはずの“時間”の優位性を認識されていない方が非常に多いということです。
株式市場には「常に」チャンスが転がっています。
株価が上下に動くことで値幅が出ることはチャンスだとすぐ気づけますが、チャートには縦だけでなく横で見る感覚も大事です。
ニュースによって株価が大きく振られる瞬間を度々目にすることが多いかと思いますが、これを点で捉えるのではなく面で捉えていくと大きな値幅を獲れる確率が高くなります。
AIやアルゴリズム取引を駆使したコンピュータはヘッドラインが流れた瞬間に反応する瞬発力には優れていますが、複雑に絡み合っている世界の構造的な問題をふまえて先行きを予測する能力までは備えておりません。
いわば間違った方向にも、よーいドン!で突っ走ってしまう性格があることを理解しておくとよいかと思います。
つまり、株価が上下に鋭く反応しても、物事や事象の本質を理解しているわけではないので、本当は投資家自身の解釈が合っていたにも関わらず、株価の動きが想定と真逆に動いてしまったがために損切りし、その後に市場が間違っていたことを認識して急激に値戻しする、そんなことが常態化しているのです。
よって、株価の値動きだけに釣られて売買してしまうと、なぜ儲かったのか、なぜ損したのかが曖昧なままで、とりあえず取引を終えることになります。
これでは反省が活かしきれず損に損を重ねるトレード結果となってしまっても不思議ではないですね。
このようなことを繰り返さないために必要とされるのがリスク管理で、何を管理するのかと言うと目の前の取引画面に表示されている株価の動きを監視しておくことではなく、むしろ表示されていない部分です。
自身の損失を許容できる範囲はどのくらいか、時間軸は短期・中期・長期どこを見据えて投資しているのか、保有している株数、ポジションサイズは適正なのか、といった点です。
これはパソコンの画面を眺めてもどこにも表示(正解)はありません。
投資家自身の中にしか答えは無いのです。
熟練した投資家の方であれば今さらそんなこと言われなくてもと思われるかもしれませんが、意外とこれを認識してトレードできている投資家が少ないことに私は驚いています。
この機会に個人投資家としての強み、弱みは何なのか?さらに自分は投資と向き合う際にどういうクセがあるのか?といったところを過去のトレードから客観的に分析しておくと、先行き不透明な世界情勢の中でも堂々と渡り合っていけることと思います。
投資判断において迷いが出るのは当たり前です。株式市場は水物で不確実性が前提となっていますので、予測して当たった外れたの世界からいち早く抜け出さないといけません。
金融庁の報告書では、年金の2000万円不足問題を国民に押し付けて、投資を促しているのが現実ですから、投資家は資産を運用して増やさなければいけませんよね。
市場の養分とならない為には予想の当たり外れでなく、自身の投資適性について目を逸らさずに正しく認識することからスタートしていくのが勝ち組投資家への近道になることは間違いありません。
【 相 場 の 格 言 】
『相場には、事実は1つ見方は2つ』
それでは来週も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆者:加藤あきら
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