株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 会員番号 第011-1393

あすなろ投資顧問

2019-08-13 17:00:00

YEN蔵レポート

世界的な緩和競争の中で円は独歩高、銘柄を絞り込んでコンパクトな投資を

【足元の相場雑感】
 前週の中国に対する追加関税の決定を受けて株安、円高の流れは先週に入り加速し安値をつけた後は反発しました。
 米中貿易摩擦が一段階悪化したことでリスク回避の動きが加速しました。きっかけとなったのは人民元安が加速したこと、それに対して米国が中国を為替操作国に認定したことでした。これによって米中の摩擦は貿易摩擦から通貨戦争の様相を呈してきました。
 5日にドル人民元は2008年以来レジスタンスになっていた1ドル=7元を上抜けしました。この日中国人民銀行は基準値を1ドル=6.9225元と2018年12月以来の元安水準にし、人民元は7.0266元に上昇し2008年5月9日以来の7元台に上昇、オフショア人民元は7.1094元まで元安が進みました。
 中国政府はここまで7元を維持し交渉の進展に期待していましたが、7元突破を許したことで交渉の進展を見限ったとも取れます。ただし株価下落などとあわせて通貨安が進めば資本逃避のリスクもあり、中国政府としても無秩序な通貨安は望まないと思われます。
 この人民元の動きに対して6日に米財務省は中国を為替操作国に認定しました。これまでの為替認定国の基準に照らすと認定はおかしいのですが、これによって米中摩擦は一段と厳しくなりました。しかしここまでで悪材料が出尽くしとなり、この日は日米ともに株価が底を打って反転しました。
 先週もうひとつ目立った動きは世界的な長期金利の低下でした。株価が下落する局面では変動が緩やかな債券に資金が向かう資金シフトは起こるものですが、それに加えて各国中央銀行が利下げを急ぐ中で長期金利は一段と低下しました。
 6日にRBNZ(ニュージーランド中央銀行)が0.5%と大幅な利下げ、インド、タイの中央銀行も利下げを行いました。
 このように緩和競争が続く中で米10年債利回りは1.598%、ドイツ10年債利回りは-0.605%と一段と利回りが低下しました。FRBもECBも9月の緩和規定が高まる中で緩和余地が少ない円が買われる状況が続いています。
 長期金利の低下は株価を支える材料にもなり、株価は週後半に反発しました。
 株価の動きが不安定な中でドル円だけでなくクロス円も売り圧力がかかっています。人民元の元安加速、米国の中国の為替操作国認定と通貨戦争の様相を呈してきました。
 RBA、RBNZの利下げ、ECBの利下げ示唆など多くの国が緩和方向に舵を切る中で、緩和余地の少ない、また消費税の値上げが予定されている円は消去法として買われる通貨になっています。
 なにやらリーマンショック後に各国の緩和に対して後手に回り円高を招いたあの時が思い出されてしまいます。円高の流れはまだ続いていくものと思われます。


【ドル円の材料と予測】
 先週のドル円は106.58オープン、105.68クローズで0.84%の下落となりました。
 5日に人民元が1ドル=7元を超えるとリスク回避の動きが加速し105円台後半に下落。6日に米財務省が中国を為替操作国に認定すると105.50付近まで下落。しかし中国人民銀行が人民元の基準値を6.9683と7元以下に設定し安心感から107.09まで上昇。
 7日にトランプ大統領がFRBの早急な利下げを求めたことで105.50付近まで下落。
 8日にトランプ大統領は9月の中国との会合は今後分かることで、しなくてもかまわないと発言したことで105.27まで下落し105円台中盤で終了しました。
 東京はお盆休みに入り、海外も夏休みシーズンで流動性が落ちるシーズンです。輸出勢の売りはあると思われますが、日銀短観の大企業製造業の想定為替レートは109.30で、105~106円付近のレベルで輸出勢が積極的に売ってくるとも思えません。
 15日は米国債の償還、利払いがあり、3年債264億ドル、10年債667億ドル、30年債202億ドルの償還があり、利払いに絡むドル売りの需給はそれなりにあるかもしれません。
 ただ104~105円台では米国債への投資需要もそれなりにはあるとみられ、米国債投資に絡むドル買い需要もあると思われます。
 1月3日の安値104.60~70付近が目先のサポートとして意識されます。104~105円台は今回の下落では一旦ターゲットになるのではないかと思われます。
 週明けの海外市場ではリスク回避の動きからドル円は105円に迫っています。105円が短期的なサポートで105~107円のレンジが予想されますが、105円が抜けた場合は104円台前半への下落が予想されます。


【日経平均の材料と予測】
 先週の日経平均は20909.98円オープン、20684.82円クローズで1.08%の下落、前週からは1.91%の下落となりました。
 人民元の下落、米国の中国の為替操作国認定で米中問題が通貨戦争気味になったこと、世界的な株価の下落材料になっています。9月の各国中銀の金融緩和期待もあり、今回の下落は今月いっぱいの可能性もあります。
 決算が一巡したことで材料が無くなってきていることもあり、海外市場の動きと為替の動きに左右される流れになるかもしれません。
 日米貿易交渉は13~14日に事務レベル協議がワシントンで行われます。8月中の閣僚級協議の予定で24日からはG7サミットが予定されており、ここら辺で何らかの発言などが市場を動かす材料になる可能性もあり注目です。
 日経平均は2万円の節目が重要なポイントになっており、このレベルは短期的にはサポートされるものと思われます。21000円付近がレジスタンスとなり、20000~21000円のレンジを予想します。
騰落レシオは25日が79.51%、6日が54.49%と底値とは言わないまでも、かなり低下してきていますので、ここから底値までは近いのではないかと思われます。


【今週の注目セクター】
 週明けの海外市場は円高、株安の流れでスタートしています。アルゼンチンの大統領予備選で現職のマリク大統領が劣勢なことでアルゼンチンペソ、株価が下落し新興市場が不安定になっています。
 週前半はリスク回避の動きが続きそうです。このような時は円高でメリットをうけやすい輸入企業、デフェンシブな銘柄に絞りたいと思います。
 前回も書きましたが好業績銘柄に絞って、銘柄数はあまり手を広げ過ぎずに対処したいと思います。


執筆:YEN蔵


≪執筆者略歴≫
“YEN蔵”こと田代岳氏は外資系銀行の米系シティバンク、英系スタンダード・チャータード銀行等でFXトレーディングの要職を担い活躍。為替ディーラーとしてメジャーからエマージングカレンシーまで幅広い通貨取引を担当した。
現在は国内外のトレーダー・投資家とのネットワークを活かしながらブログ執筆やセミナー開催などを通じて活躍の場を広げる。
またツイッターで@YENZOUとして日々情報発信し、30,000人以上のフォロワーに影響力を持つインフルエンサーでもある。
外部環境が重要である昨今、為替のプロの相場観は必見!!

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