米政権の鶴の一声で様変わりする株式市場
米国が対中関税の第4弾発動を一部12/15まで延期することが明らかとなり、昨日の下げから一転して幅広い銘柄に買いが入りました。
米国のライトハイザーUSTR代表と中国の劉鶴副首相の電話協議が行われ、次回協議の日程も2週間以内と9月1日より前に実施されることも市場の過度な悲観ムードを後退させました。
日本株は8割近く上昇しましたが、言ってしまえば先週末の水準に戻したところで、昨日の下げは単に余計だったとみることができます。
まだ先週お伝えした日経平均の半値戻しやTOPIXの1500ポイント台回復もおあずけの状況ですので楽観はできませんが、本日も途中で失速するかと思わせつつ、後場からしっかりと踏みとどまって200円高まで持っていったのは立派でしょう。
そして、今回の米国が譲歩した措置には明確なトランプ米大統領の意図が示されたと言えます。
本日、任天堂(7974)が売買代金トップで大幅高した理由にもつながるものですが、今回米国が関税発動を見送った対象品目の一部は携帯電話や玩具といった日用品であり、9月に新学期を迎える米国民にとっては重要なものばかりです。さらに年末にかけてはクリスマス商戦も控えていることから、関税の発動時期を12/15に定めたことが分かります。
つまり、トランプ米大統領は米国民に配慮したと言え、いろいろトランプ砲を繰り出して中国と駆け引きをしていますが、それも含めて来年の米大統領選挙に向けた成果づくりであると言えます。
おそらく9月には中国側も折れて米国の農産物を輸入することになるのではないでしょうか。
それにつけてもなかなか楽観ムードにつながらない理由はやはり各国の金利低下と経済指標の悪化にあります。
ドイツの景況感などは最悪で、一方の米国のCPIなどは好調でした。
米中ばかりに焦点が集まりやすいですが、欧州に対する関税も相当に効いていることが窺い知れます。
日本株を売っている主体は欧州勢だったりしますので、どうしても本国が厳しいとグローバルに投資しているリスクポジションを縮小しなければならないのかもしれません。
しかし、全体を見渡してトランプ米大統領ほどマーケットに影響力のある人物はいないわけで、彼が年末商戦を意識しているということは10~12月は株高を刺激する可能性が高まっているとみることができます。
トランプ米大統領が先のFOMC後に米FRBの0.25%利下げを批判して、利下げ催促の相場でこのような現状になっていることをふまえますと、彼が株高にしたいと思って発言すれば急旋回して株高が演出される可能性があると言っても過言ではないでしょう。
何やら昨年クリスマスの相場がどん底だった時にトランプ米大統領が「米国株は買いだ!」と言った時のことが思い起こされます。
8月下旬~9月上旬にかけてのところで、そのような掛け声がかかった時には今売り目線でいる投資家の方も迷わずドテン買いしていきましょう(笑)。
本日は総じて堅調だったと言えども、中小型株は決算発表の千秋楽を迎えながら材料消化で値下がりした銘柄も多くみられました。
明日からはようやく決算プレイが落ち着いてくるかと思いますので、直近売られてバーゲンハンティングできる銘柄を探していきましょう。
できることなら昨日、今日の決算が出てすぐのものよりは7月中に決算発表を済ませて値動きが落ち着いてきたものから拾っていきたいですね。
よく見たら幸楽苑(7554)やソフトバンク・テクノロジー(4726)なんかも下がってきているみたいです。
【 相 場 の 格 言 】
『起きて欲しいことと、起きると分かっていることを分けて考えるのがポイントだ』
それでは明日も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
【本日ご紹介した銘柄】
幸楽苑(7554)
ソフトバンク・テクノロジー(4726)
執筆者:加藤あきら
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