下落相場のアク抜けまでもう一息
先週にひときわ注目を集めたジャクソンホール会合では、パウエル米FRB議長がトランプ米大統領からの強硬な利下げ圧力をかわして無難な発言に終始しました。
市場反応は概ね予想通りのものと捉えられ、ここまではよかったのですが問題はその後でした。
程なくして中国から米国の追加関税に対する報復関税が発表されたかと思いきや、これに過剰反応したトランプ米大統領は2500億ドル相当の輸入品に対して25%から30%に引き上げを10月1日から実施、さらに12/1に実施が延期されていた輸入品に対する関税も10%から15%に引き上げると立て続けに応酬する姿勢を示しました。
米中貿易戦争にある程度慣れてきた市場も、さすがに終わりの見えない報復合戦を嫌気して一斉にリスク回避に傾き、日本市場も再び日経平均20000円近辺まで売り浴びせられました。
ドル円も104円台に突入してくるなど、なかなか気が抜けない相場が続いており、お盆休みが明けても売買代金が2兆円を上回ることが出来ていません。
投資家もうかつに手が出せず様子見ムードが強いと言えます。
相変わらず元気なenish(3667)とアンジェス(4563)が新台に乗ってきましたので、新興市場は案外盛り上がりを見せました。ここ最近ジーンテクノサイエンス(4584)も強いですしね。
本日は全体で久しぶりに出来高が膨らみましたが、新安値銘柄数も一緒に膨らみました。
東証一部では再び400銘柄を超えましたので、実のところ2割近くが直近の最安値まで売り込まれていることになります。
こうしてみますと、8月は改めて追加関税が発表された5月に近い相場づきになっています。
引き続きシートベルトをきつく締めて、闇雲に動いて事態を悪化させないようにしておきたいものです。
足元ではフランスでG7サミットが開催されていたわけですが、先進国の足並みの乱れが浮き彫りとなるばかりで、市場が期待するような下支え効果など望めるはずもありませんでした。
こうした難局を打開する一手は市場影響の大きい当局やトップリーダー達の手に委ねられるのが通例ですが、やはり米中ツートップが内政重視である以上、まだ機が熟していないと言えるでしょう。
本日の下げに対して戻りが鈍かったのも、状況改善の一手がなかなか見出せない失望に対して売りがかさんだと言えます。
このように本日は絵に書いたような全面安商状でしたが、もし、日経平均が20000円を割り込んで為替もどんどん円高が進むようであれば日銀が動いたのかもしれません。
強力な金融緩和を粘り強く続けるとした黒田日銀総裁は今回のG7においては日本に留まり、急激な市場動向に備えているようでした。
つまるところ、ファンダメンタルが理由ならおそらく本日の水準で株価は下げ止まります。
それでも下げ止まらないとすれば、理由が米中貿易戦争では説明がつかなくなってきます。それはおそらくよほどの地政学リスクか、欧州の金融システムリスクが顕在化してくることになるでしょう。
よって、日経平均やNYダウが重要な節目を割り込んでくるまでは市場の下支えに動く可能性は薄く、私はむしろそれを待っているかのように見えて仕方がありません。
このような文脈から、近々日経平均が20000円を割り込んで19700円付近、年初に開けた窓を埋めるあたりから本格的に政策発動論議が加速する可能性は大きいのかもしれません。
今は株式市場とか関係なく歴史自体が大きく動いています。
バブルは人為的に生み出されるもので、過去の歴史を繰り返そうとしているのが今この時です。
どうしたってきな臭いですから、新明和工業(7224)あたりでも狙っておきますか。
いずれにしても、近いうちに市場が総悲観に陥りかねない悪材料が出てセリングクライマックスとなり、各国当局は金融緩和のアクセルを吹かすでしょう。
それと同時に市場は一気にアク抜けし、様々なリスク要因を横目に株高エンジンをフル回転していくことになるのです。それがいわゆるバブル相場です。
あすなろ会員様におかれましては、ぜひその舞台で舞い踊っていただけるよう虎視眈々と仕込みに徹しておいてほしいと思います。
【 相 場 の 格 言 】
『利確のタイミングは大口がいくらで仕込んで、
いくらで売りさばきたいのかを逆算することだ』
それでは明日も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
【本日ご紹介した銘柄】
ジーンテクノサイエンス(4584)
新明和工業(7224)
執筆者:加藤あきら
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